<プレシーズンマッチ:神戸2-1札幌>◇21日◇高知・春野総合運動公園

 新戦力が期待を抱かせる働きをみせた。コンサドーレ札幌が、J1神戸とのプレシーズンマッチに敗れた。後半15分にFWキリノ(25)がPKを決め先制も、逆転負けを喫した。今季初のJリーグ相手に白星こそつかめなかったが、愛媛から加入したFW内村圭宏(25)がスピードで相手のファウルを誘い先制点に結びつけるなど、新しい顔が機能した

 J1相手も見劣りすることはなかった。札幌の新戦力が、初のJ相手に躍動した。キリノのPKで挙げた先制点、演出したのは内村だった。右からのDF李のスローインを、キリノが頭で落とす。受けた内村が左に相手をかわしにかかった。速さについていけなかった神戸MFエジミウソンに引っかけられ、PKを得た。内村は「シュートまでいきたかったけど。最低限は出せたと思います」と貢献できたことを喜んだ。

 今季初の公式戦。先発2トップは愛媛から来た内村と、J1東京から加入した近藤祐介(25)だった。内村はスピードを生かして裏への抜け出しを図れば、近藤は屈強な体を生かしてくさびとなった。右サイドバックで攻守にわたり奮闘したJ1広島から加わった李は「スローインから3人目の(内村の)動きが良かったからPKにつながった。ああいうシーンを増やしていければ」と手応え十分に振り返った。

 石崎信弘監督(51)2年目の今季。昨季の課題の1つだった得点力アップのために獲得したのが、内村や近藤だった。得点シーン以外にも、後半7分に裏へ抜け出した内村がDFを交わし左足でシュート。GKの好セーブに遭ったが、完全に相手DFを崩した。指揮官は「前半は相手のミスがらみもあったが、後半は自分たちでつくったチャンスだったから」と攻撃を評価した。その視線の先には新戦力組がいた。

 J1相手に堂々のプレーも、さらなる上積みの自信がある。後半8分から入った右サイドハーフでも持ち味がうせなかった内村だが「どの位置でも、球をもらうタイミングなど、もっと良くしていかないと」と言った。近藤も「チャンスはあったから。決定的なものを決めていけばもう少し良くなる」と今後に向けた。開幕まで2週間、さらにチームにフィットするために取り組んでいく構えだ。

 この日のスタメン中3人の新戦力は、いずれも存在感を示した。内村は「開幕戦に先発で出るために来たんだから」と競争を勝ち抜くべく、声を強くした。「だれが試合に出るかというところから考えていかないといけない」。石崎監督をさらに悩ませる存在が増えてくれば、10年札幌の展望は確実に明るい。【砂田秀人】