再び、輝きを放つ時が来た。今季で入団3年目を迎えるJ1清水FW大前元紀(20)が「スーパーサブ」に名乗りを上げた。26日のシュート練習で、サイドからのクロスボールに、体を投げ出して必死にゴールを目指す姿は、2年間の「下積み生活」を体現するものだった。

 流通経大柏高時代は全国3大大会すべてで得点王を獲得する、史上初の快挙を達成。鳴り物入りでプロの門をたたいたが、2年間で公式戦出場はわずかに8試合どまりだ。「(入団)1年目は『できる』と思っていただけに悔しかったし、焦りもあった。去年は自分に足りないところを素直に認めて、やらないといけないことが分かった」。ボランチなど複数のポジションで起用されたこともあり、最大の武器=ゴールへのこだわりが薄れていた。

 4-3-3の新システム導入も大前を後押しするはずだ。「単純に攻撃的なポジションは多いしね。自分の特徴、システムを生かすためにも1対1を、どんどん仕掛けたい」。昨季のナビスコ杯予選(6月13日=東京戦)でプロ初ゴールを決めたが、メンバーには定着できなかった。「まず全試合でメンバーに入って、チャンスをもらえた時に点を取りたい。それを続けることが大事」。表舞台に出る準備は着々と整いつつある。【為田聡史】