ゴン弾でスタートダッシュを決める。J2札幌は7日、佐賀・ベストアメニティスタジアムで開幕鳥栖戦に臨む。今季新加入の元日本代表FW中山雅史(42)は、磐田時代の08年以来2季ぶりの開幕ベンチ入りが決定的だ。試合終盤の出場でチームを鼓舞し、08年3月15日のG大阪戦以来、722日ぶりの得点も視野に入れた。

 中山が札幌4季ぶりの開幕戦勝利を呼び込む。自身初のJ2舞台。サッカー選手として再起をかけた大事な一戦で、男42歳が敢然とゴールへ猛進する構えを見せた。鳥栖戦は途中出場が濃厚だが、短時間でも100%出し尽くすのがゴン流だ。「得点?

 ゴールに近い位置にいるわけだし、そこ(ゴール)に突っ込んでいければ」。08年3月以来、約2年ぶりとなる復活ゴンゴールを視野に入れた。

 直前の「儀式」は済ませた。前日調整となった6日の全体練習後は約10分間、スタッフのパスを受け、ゴール前4メートルの至近距離から2タッチ以内でフィニッシュさせる居残りトレを行った。他のメンバーが引き揚げた後もグラウンドに残って腹筋。「今は緊張はせずに。明日の本番でベストのテンションになればいい」。最後に出場した昨年11月28日の広島戦の前日調整と同様、いつもの“ゴンルーティン”で、淡々と戦いの準備を完了した。

 どん底から開幕切符を勝ち取った。昨季はプロ入り後、負傷以外では初めて開幕メンバーから漏れた。そして、社会人となった90年JSLヤマハ時代以来、20年目にして初のシーズン無得点。11月には自身初の戦力外通告も受けた。12月に札幌移籍が決まっても、始動前日の1月19日に右内転付着部炎が発覚し、同20日からのグアム1次キャンプは別メニュースタート。苦しいリハビリ期間は険しい表情も多かったが、開幕を前にしてようやく「状態はグアムの初日に比べれば全然いい」と戦える喜びを表情に表した。

 ゴールを決めれば42歳5カ月と12日での得点となり、横浜FCのFWカズが持つ42歳と16日のJ最年長ゴール記録を更新する。「その場その場での役割がある。勝つためには、それぞれがやれることを、サボらずにひたむきにやり通すこと」。自分の肉体を信じ走り続ける42歳の復活弾が、札幌4度目昇格への道しるべとなるに違いない。【永野高輔】