<J2:鳥栖1-1札幌>◇第1節◇7日◇ベアスタ

 4季ぶりに開幕戦勝ち点を拾った。コンサドーレ札幌は鳥栖に引き分けた。前半21分にMF藤田征也(22)のゴールで先制したが、後半に入り押し込まれ、同39分に同点弾を許した。終盤にもピンチを迎えたが、体を張った守備でしのぎきり貴重な勝ち点1を奪取。石崎信弘監督(51)が勝負をかける就任2年目の開幕は、勝ち点3とはいかなかったが、昇格へ向け上々のスタートを切った。今季移籍したFW中山雅史(42)も後半ロスタイムに途中出場。札幌での公式戦デビューを飾った。

 負けなかったことが大きかった。札幌が大事な10年初戦で価値ある勝ち点1を取った。敵地でのドロー発進に石崎監督も「DFラインとボランチでよく食い止めた。選手はよく頑張ってくれたと思う」と、まずはねぎらいの言葉を送った。

 開幕戦の難しさが凝縮された一戦だった。前半21分、MF上里からのスルーパスに反応した藤田がDF裏に抜け出し右足でループシュート。1度は右ポストに阻まれるも、跳ね返りを再び藤田が押し込んで先制点を奪った。「(上里)カズ君がいいパスを出してくれた。去年からやっていた形だった。いいタイミングで抜け出せた」。プロ5年目で初開幕スタメンとなった藤田のゴールで、前半は札幌がペースを握った。

 序盤で攻撃の形を見せた半面、後半は課題を露呈する45分となった。セットプレーから痛い失点を与えた。後半39分、FKから鳥栖MF金にゴール前に持ち込まれ、守備陣がひきつけられると、最後はゴール前でフリーとなっていたDF飯尾に押し込まれた。「1対1で負けてしまったから。そこをもう少し厳しくやっていかないと」とDF石川は反省を口にした。

 FWキリノが右足内転筋痛のため欠場するというトラブルもあった。エース不在にともない熊本キャンプではサイドバックやサイドハーフとして練習していた2年目の上原を“代役”として後半28分から途中起用する奇策も使った。右サイドバックは熊本キャンプで起用し続けた攻撃力のある新加入の李ではなく、守備力の高い芳賀を用いる安全策も絡めるなど、あらゆる手を使って勝ちにいった。

 勝利は手にできなかったが終盤、一方的に押し込まれながらも逆転されなかった意義を、次につなげなければならない。「勝ち点1の大きさ?

 それは次のホーム開幕戦(13日、福岡戦)で勝ったら大きいし、負けたら小さくなる」と石崎監督。耐えてつかんだ貴重な勝ち点は、ホーム札幌ドームのパワーでプラスに変える。【永野高輔】