<J2:北九州1-0東京V>◇第3節◇21日◇北九州

 今季からJ2に参入の北九州が東京Vを破り、初勝利を劇的に飾った。MF関光博(27)が先制ゴールも、前半39分にFW大島康明(28)が一発退場。1人少ない状況で逆に全員が結束を強め、集中力を切らさず1点を守りきった。

 待ちに待った笛が鳴り響く。耐え切った北九州の選手たちはピッチ上で抱き合った。観戦した横手敏夫社長は「やったぞー」と絶叫し、目に涙を浮かべた。約3200人がつめかけたホームでの試合。苦しんだ末の1勝だけに喜びも大きかった。与那城監督は「J2初勝利を願っていた。勝利でき、皆さんに感謝したい。結果が出せてうれしい」と声を弾ませた。

 MF関のゴールで初めて先制点を奪った。しかし、前半39分にFW大島の左ひじが東京VのDF土屋の顔面に当たり、一発退場。大ピンチに陥ったが、逆に一丸となった。ハーフタイムには「ひとつになって、勝ちきろう」と奮い立ったという。猛攻を受け続けたが、最後まで耐えて、1点を守りきった。

 北九州市は、かつて新日鉄がサッカーで日本一に輝いたこともある。だが、企業の衰退とともに「サッカーのまち」は元気をなくした。そんな中、市民クラブ化の動きが起こり、創設9年目で悲願のJ2入りを達成。地域に勇気と元気を与えるためにも負けられなかった。次節・水戸戦(27日、Ksスタ)も勢いで勝ちに行く。【菊川光一】