<J1:清水2-1横浜>◇第5節◇3日◇日産ス

 MF本田が感謝感激で口にした。「エスパルスのゴールにスパイダーマンがいました」。J1清水はアウェーで横浜と対戦し2-1で競り勝った。勝利の立役者はGK西部洋平(29)だ。PK阻止など、絶体絶命のピンチでスーパーセーブを連発した。自身最多の4戦連続完封こそは逃がしたが、FW岡崎慎司(24)の2ゴールを最少失点で守りきり暫定首位に立った。

 清水の守護神は神懸かっていた。16本ものシュートを浴びながらも最少失点でしのいだ西部は「何とか(シュートを)止めて流れを壊さないようにしたかった。DFも体を張って守ってくれたし、助けられたプレーもたくさんあった。対戦する前から難しい試合になることは分かっていたけど、最終的に勝ち点3をとることができて良かった」。兄貴分と慕うMF本田も「今日はエスパルスのゴールにスパイダーマンがいましたね。だいぶ助けられました」と感謝した。

 最大の見せ場は後半22分。DF児玉がペナルティーエリア内で反則を犯しPKを与えてしまった。西部はキッカーの横浜MF兵藤の動きを凝視。広島相手の開幕戦で失点したPKの場面も脳裏にあった。「開幕戦の時は動くの早すぎた。今日はしっかり我慢してボールに反応した」と、ゴール左に放たれたシュートを見事にキャッチし、失点を許さなかった。チーム屈指の身体能力を駆使し「読み」ではなく「反応」で絶体絶命のピンチを死守した。

 前半に2点を先制したが、後半は防戦一方だった。CKは清水2本に対し敵軍は14本。最も警戒していた横浜MF中村は前半27分に負傷退場したが、交代で入ったMF狩野からの鋭いクロスが何度も清水ゴールを襲った。「対応は難しかったし、横浜は高い選手も多いのでCKは嫌でしたね。だけど、やられなかったことは自信になる」とうなずいた。課題にしていたクロス対応でも安定感を発揮した。

 クラブ史上初の開幕5戦無敗となった長谷川監督も「後半は胃が痛くなるような試合だった。その中で西部を中心に守備陣が気力を振り絞って戦ってくれた」とたたえた。開幕戦のPKによる失点は後日、反則だったと判明。事実上、5試合で1失点の鉄壁を代表して西部は言った。「今はチームの一体感が強い。チームが勝つことが一番」。この壁は簡単に崩れそうにない。【為田聡史】