<J1:山形2-0神戸>◇第6節◇11日◇ホームズ

 山形はFW田代有三(27)の3戦連続ゴールなどで、2連勝を飾った。

 ホムスタで全敗(J1で1敗、J2で2敗)という山形のジンクスを、上げ潮の田代が打ち破った。前半32分、右サイドからMF北村、秋葉とつなぎ、中央で待ち構えた田代が間髪入れずに右足を振り抜く。相手DFの股間(こかん)を抜けた先制弾は、自身4年ぶり3度目の3戦連発。歓喜の輪の中で、田代が両手を突き上げ、ほえた。

 悔しい時間が長かった分、喜びが増幅する。昨季所属した鹿島でのリーグ戦出場は16試合のみ。先発は1試合のみで「モヤモヤしていた」(田代)。出場機会を求め移籍を決断したが、山形でも我慢を強いられる。小林監督が「屈辱的だと思う」と話すほど、自らのプレーがミーティングでの“ダメ出し材料”に挙げられた。

 日本代表を経験したほどの男が、ボールの受け方など基本的なことを同監督に指摘され続けた。雪が舞う練習場で、強制居残りトレも課された。「個人的にそういうことを言われたことがないので、ありがたい」。耳を傾け続けた結果、トラップからシュートまで時間をかけない動作を体で覚えた。この試合のゴールは、相手が対応できないほどだった。

 真摯(しんし)な姿勢だけでなく結果も出し、仲間の信頼も高まるばかり。今季は全試合で先発起用されている。田代は「僕の考え(パスをもらいたい場所)を、みんなが分かってきてくれている」と、ゴール量産を目指す。指揮官に「田代にゲーム感覚が戻ってきているのと、いい時間帯に先制できたのが大きい」とたたえられた。山形がようやくつかんだ上昇気流。背番号10が、その勢いを加速させる。