加入3年目、ついにチャンスが巡ってきた。コンサドーレ札幌は25日、札幌ドームで水戸と対戦する。本番前最後となる23日の紅白戦で、主力組の右サイドバックにDF堀田秀平(20)が起用された。これまで7度ベンチ入りはしているが、出場機会はなかった。同年代の選手が次々デビューする中も、腐らず、地道にレベルアップに励んできた男が、いよいよプロの第1歩を踏み出す。

 全体練習後、1人黙々とランニングする堀田に、仲間から次々と声がかかった。「(心臓の)鼓動が聞こえるぞ」「ドキドキだろ」「寝られないんじゃない」。プロ3年目、初めて見えてきた試合出場のチャンス。冷やかしの言葉通り、緊張感は隠せなかったが「いい準備はできている。頼もしい仲間がいるから、リラックスしてできると思う」とはっきり口にした。

 水戸戦前最後となる23日の紅白戦で、主力組の右サイドバックに入り、最後までその座を譲らなかった。「まだ見てみただけ。ディフェンスの数が少ないから。連戦だしうまく回していかないと」。石崎監督は起用理由の明言は避けたが、6戦で勝ち点8の14位という現状の打破を期待し、未知の力を送り出す。

 背番号10を背負うMF宮沢とFW横野が同期。ともに1年目の08年、J1舞台でデビューを果たした。しかし堀田には、ベンチ入りの機会すら訪れなかった。昨季は年下の古田も定位置をつかんだ。「練習するしかなかった」。試合日、同世代がピッチを駆け回る中、札幌・宮の沢で行われる居残り練習で、黙々とレベルアップに励んできた。昨季第46節の10月21日栃木戦で初めてベンチ入り。昨季は3度、今季は4度の控えをへて、ついにチャンスが巡ってきた。

 本職はセンターバックだけに、対人の強さで勝負する。「守備という持ち味を出して、安定したプレーをしたい」と言った。この日の練習後は、仲間と再三、ポジショニングなどを確認し最終準備を整えた。「これまでいろんな方が自分にチャンスをくれるようにトレーニングしてくれた。試合に出られたら、生かしたいです」。支えてくれた多くの人に報いるためにも、全力を尽くし、結果をつかみにいく。【砂田秀人】