札幌が岡田ジャパンから学んだ。コンサドーレ札幌は25日、札幌ドームサブグラウンドで約2時間の練習を行った。未明に行われたW杯南アフリカ大会では、1次リーグ最終戦で日本がデンマークを3-1で下し、決勝トーナメント進出を決めた。札幌の選手も歴史的な瞬間をテレビなどで観戦。控え選手を含めたチームの結束力、セットプレーの重み、連動した守備など、チーム強化に向けたエッセンスを吸収した。

 札幌が日本代表の歴史的な一戦を、浮上へのテキストにする。この日の練習は、深夜に行われたデンマーク戦を観戦できるようにと、石崎信弘監督(52)の配慮で、午前練習を午後1回に変更。3-1と日本の完勝に終わっただけに、指揮官も「時間を遅らせたかいがあった」と効果を口にした。

 選手1人1人が、多くの収穫を得た試合だった。MF岡本賢明(22)は「立ち上がりは劣勢だったけど、試合の流れは変えられるものだと感じた」と振り返った。デンマークの変則システムに戸惑い、序盤の10分過ぎまでは押し込まれたが、4-2-3-1の布陣を従来の4-3-3に戻すことで対応。押しこまれたケースやシステム変更後、特に失点しやすい札幌の課題克服に向け「戦う気持ちと、それをコントロールする冷静さが大事」と学んだ。

 流れを取り戻した後は、セットプレー2発で勝負が決まった。「セットでの得点は大きい力になる」とDF藤山が言えば、GK高原は攻撃だけでなく1次リーグ3戦を通じて光る堅守について言及。「連動した組織的な守備が目についた。札幌はまだバラバラな時もあるので参考にしたい」。前線の大久保、松井も精力的に動き、後ろの長谷部、遠藤、阿部らが包み込むようにボールを奪い攻撃に転じる。世界相手でも動じない巧みな守備を中断期間に習得したいところだ。

 背番号10の宮沢はチームの勝利に最も大事なことを感じ取っていた。「中心でもある(同じ背番号10の中村)俊輔さん含め、ベンチの人も試合に出ている人も1つになって勝ちに向かっていた。そうやって突き進むことの大切さを感じた」。今の札幌に結束力がないわけではない。だが、12位と低迷している状況を打破するには、もう1度チームが一枚岩になることが巻き返しへの力になると再認識し、石崎監督も「勝てない時もあったけど、その中でチームを1つにまとめ上げた岡田さんの力はすごい」と言った。岡田ジャパンから学んだ勝利の哲学。指揮官、スタッフ始めチーム全員がテキストとして、リーグ再開時のパワーにしていく構えだ。【永野高輔】