<J1:名古屋1-0大宮>◇第13節◇17日◇NACK
“強制先発”で日本のサムライが生き返った!?
名古屋の日本代表DF田中マルクス闘莉王(29)が、17日の大宮戦でフル出場し勝利に貢献した。後半31分に、FWケネディのゴールをアシスト。守備でも大宮を完封した。W杯後、ブラジルで病気の父親を見舞い、調整不足のまま帰国。コンディションは万全ではなかったが、あえて先発を命じたストイコビッチ監督の期待に応えた。
聞き慣れたはずの大声援が心地よかった。大宮がしかけた終盤の猛攻を必死にしのいで勝ち点3を得ると、ピッチにあおむけに寝転んだ。仲間が駆け寄り抱き合う。そのままサポーターへあいさつに向かった。地鳴りのような「闘莉王コール」に胸をたたき、片手を上げて応えた。
3日前合流の影響か、前半は重苦しさが漂った。チームはチャンスをつくるも得点を奪えず、退場者も出した。それでもハーフタイム明けは一番に戻ってきた。後半は体を張って相手の攻撃を抑える。31分には右サイドから先制アシスト。37分には直接FKでゴールも狙った。徐々にいつもの闘莉王らしさが戻ってきた。
まさかの先発出場だった。闘莉王は「最初から出さないでくれ」とストイコビッチ監督に直訴していた。日本代表での戦いを終えると病気の父親を見舞うため南アフリカからブラジルへ。14日に帰国したが「サッカーは考えられない」と話すまで気持ちは落ち込んでいた。
それでも監督は、ピッチに立てば、結果を出す男であることを分かっていた。「自分の責任で出すことにした」と闘莉王に先発を告げた。活躍を予感していたGK楢崎も「やってくれましたね。予想はスタメンではなかったですけど」と笑顔で話した。
90分を戦い抜いた。「ベンチからだと思っていた。コンディションは最悪。もつと思っていなかった」と話した。後半ロスタイムに大宮が連続してCKのチャンスを得た。体を張って防いだが体は限界に近かった。闘莉王は「交代してくれって言ったけど、監督も頑固だから」とジョークを交えた。
これで勝ち点は25。次節は勝ち点1の差で追い掛ける2位清水との重要な一戦だ。「1日1日人生の大切さを感じながら」と先を焦ることはしない。「サポーターが少しでも喜んでくれるように頑張っていきたい」と話した。終始神妙だった闘莉王の顔には決意がにじんでいた。【加納慎也】



