<J2:札幌0-0栃木>◇第23節◇21日◇札幌厚別

 コンサドーレ札幌が引き分けた。DF陣は主将石川直樹(24)が負傷欠場ながら無失点と健闘したが、攻撃陣がチャンスを決めきれず、昨季から4戦全勝と得意にしていた相手に無得点。5月22日の徳島戦以来、9試合ぶりのスコアレスドローとなった。残り14試合を残して勝ち点は27。最短で第29節が行われる10月3日にも昇格が消滅する可能性が出てきた。

 ため息の出る内容だった。後半ロスタイム、MF高木からのパスを受けたFW近藤が左サイドから強烈なシュートを放った。「受けた瞬間、緊張してしまった。あそこ以外なら入っていたのに」。ジャストミートしたが、ボールは不運にもGK正面に飛んだ。決定的なチャンスを決めきれず、その数秒後、むなしく終了のホイッスルが鳴った。

 ベンチを引き揚げる石崎監督にもサポーターから厳しい声が投げかけられた。「なんだこのチームは。全然勝てねぇべや」。「面白くないぞ」。痛烈な批判も黙って受け入れざるをえない試合だった。前半開始数分は1トップの内村を中心にチャンスをつくったが、それからは互いに細かいミスを連発。札幌厚別のピッチがやや荒れてはいたものの、トラップやパスミスでボールがつながらず最後まで単調な攻撃に終始した。

 石崎監督は「危ない部分は消していたが、取った後のボールの動かし方が課題」と反省点を挙げた。DF陣は石川の負傷欠場ながら吉弘、藤山を中心に耐えしのいだ。石川不在で勝ち点を取ったのは今季初めて。セットプレーでも宮沢、キリノら高さがある選手を欠きながら集中した守備で無失点。その点では収穫だが、DFからのビルドアップという点では正確性を欠いた。「お互いに、崩すというより、蹴ってがちゃっとなって抜けたボールを追う感じ」とFW内村。札幌が目指すパスでつくる攻撃はほぼ見せられずに終わった。

 リーグ再開後は初戦で千葉に快勝も、それ以降は1勝1分け3敗と勢いに乗れない。仮定の話だが、このまま札幌が負け続けると、6節後の第29節にも昇格が消滅してしまう可能性が出てきた。昨年より早い10月第1週での終戦もちらついてきた。DF藤山は「勝ち点3を取らなければいけない状況だった。引き分けたというよりも残念。僕自身も含め1人1人がレベルアップする必要がある」と悔しさをかみしめた。望みをつなぐには、とにかく目の前の勝ち点3に全力を注いでいくしかない。【永野高輔】