<ナビスコ杯:磐田3-1川崎F>◇準決勝第2戦◇10日◇等々力

 川崎Fの武田信平社長(60)がチームのふがいなさに激怒した。川崎Fはホーム等々力に磐田を迎え、引き分け以上で決勝進出の圧倒的有利な状況のなか、1-3で敗退。2戦合計2-3となり、2年連続の決勝進出を逃した。大黒柱のMF中村憲剛(29)を欠いていたとはいえ、武田社長は精神面の弱さを厳しく指摘した。磐田は9年ぶり5度目の決勝進出。

 武田社長の怒った表情がこの試合を象徴していた。「全然ダメ。気持ちがまったく入っていない。こんな試合をしていたら負けて当然だ」。試合後、約10分間も席を立ち上がろうともせず、サポーターにあいさつに行く選手たちに厳しい視線を向け続けた。

 開始から磐田の早い出足に押された。前半35分にセットプレーから先制を許した。FWジュニーニョが3分後に追いつくも「どこか余裕というか、守りの気持ちがあったかもしれない」(FW黒津)。引き分けでも決勝進出のアドバンテージが逆に自分たちの動きを止めてしまった。後半に2点を失い、キャプテンマークを巻いたDF森は「うちがひどいだけ。ふがいない結果で悲しませてしまった」と完敗を認めた。

 昨年は同大会決勝戦の表彰式での愚行もあり、思いは非常に強かった。だが、ピッチで仲間を鼓舞した、精神的支柱のMF中村不在が大きく響いた。福家GMは「憲剛がいないときに誰かが盛り上げられないようでは、これ以上の結果は出ない」と口調を強めた。リーグ戦も残り9節で首位名古屋と勝ち点13差で絶望的。悲願の初タイトル獲得には課題は多い。【鎌田直秀】