<天皇杯:清水3-0G大阪>◇準決勝◇29日◇エコパ

 清水は史上初の3連覇を目指したG大阪を破り、5年ぶり決勝進出。来年1月1日の決勝戦(国立)で、2度目の日本一を目指す。

 がっちり肩を組んで跳びはねた。快勝した清水イレブンは、サポーターの前で勝利の儀式「勝ちロコ」を踊りながら最高の笑顔を見せた。今季限りで退任する長谷川健太監督(45)は「元日も1つになって戦い、タイトルを取って終わりたい」と力強く言い放った。

 前半19分、名古屋移籍が濃厚なFW藤本のクロスを、帰国が決まっているFWヨンセンが頭で押し込み先制。同28分には柏移籍が濃厚なMF兵働が左足を振り抜き2点目。欧州挑戦を表明しているFW岡崎はダイビングヘッドで観客を沸かせた。甲府に移籍するMF伊東も後半途中出場した。

 10月30日に長谷川監督の退任が明らかになった後、戦力外通告を受けていた選手も続々判明。選手たちは「功労者やレギュラーが戦力外になるのはおかしい」と訴え、チームは一時崩壊寸前に陥った。今オフは移籍する主力選手を含めて最大12選手がチームを去ることに。だが、最後の時間が近づくにつれて、チームに一体感が生まれた。

 鹿島と移籍交渉中のMF本田は「(決勝は)鹿島相手でも今はこのチームの一員。このメンバーでできるのもあと1試合。90分間死ぬ気でやる」。DF市川も「みんな心の中でいろんな思いはある。でも最高の形で終わりたい」と誓った。最後に頂点に立ち、優勝を「別れ」ではなく、「旅立ち」にする。【為田聡史】