「鉄人・宮沢」は地獄のキャンプにもへこたれない。山形のグアムキャンプは3日目に突入。2日間の「慣らし期間」を終え、本格的にキツいトレーニングが始まった。午前9時15分(日本時間午前8時15分)の開始から1時間45分、ひたすらダッシュメニュー。音を上げる選手も多い中、MF宮沢克行(34)は余裕の表情を浮かべていた。

 チーム最年長の宮沢は、山形で一番走れる男だ。始まった本格メニューでは(1)ラダー(はしご)に始まり(2)高さ20センチほどの低いハードルを用いたダッシュ(3)50メートル走(4)50メートルに相手をマークする動きを入れたもの(5)ジャンプしてから50メートルを走るものなどを、1時間45分続けた。表情がゆがむ選手が続出。去り際に、ほかの選手は悲鳴を上げた。

 FW北村

 きついっす。

 FW大久保

 やばい。

 DF前田

 もう帰りたい。

 DF小林

 なんだかんだで…やばい。

 GK中村

 (顔を横に振りながら)…。

 だが、宮沢は最後まで涼しい顔を崩さなかった。24、25日に行われたメディカルチェックで、ルームランナーを用いて体力測定を行ったところ、スタミナ部門で1位だった。徐々に速度が上がる厳しい条件にも20分以上走り続けた。Jリーガー平均より約5分長く体力を維持できる上、「フィジカルは簡単。やろうと思えば誰でもできる」と、サラッと言ってのける。小林監督も「宮沢は一番ハードワークしてる」と話す。

 見習う明大の後輩がいる。同じように無尽蔵に左サイドを駆け回る日本代表DF長友(チェゼーナ)のプレーだ。「120分でも最後まで走れるのは確かにすごい」と話した上で「本当にすごいのは、ほとんど試合に意味のある走りをしている」と関心を持ってアジア杯を観戦していた。

 昨季はチームでただ1人、リーグ全34試合に出場。今年は同じポジションに川島が加入した。「(試合に)出る以上は勝利に貢献できる走りをするだけ」。鉄人はひたすら走り続ける。【湯浅知彦】