<高松宮杯U-18プレミアリーグ・イースト:三菱養和ユース2-1旭川実>◇第1節◇15日◇東京・三菱養和会巣鴨G

 惜敗から収穫あり-。初参戦の旭川実高は、三菱養和ユースに敗れた。初勝利はお預けとなったが、0-1の後半3分にFW寺林研人(3年)が同点弾を決めるなど、全国リーグ初戦から互角の戦いを披露。

 北海道の高校チームはこれまで、雪の残る4月に本格的な公式戦で戦うことができなかった。遠征費用を工面しながらの参戦は、道内高校サッカーにとっても意味のある1歩となった。

 最後まであきらめない。旭川実高らしさが詰まった90分だった。1-2の後半ロスタイム、DF高橋昌訓のFKを遠藤元一(ともに3年)が頭で合わせた。執念のシュートは、惜しくもGKに止められてノーゴール。後半は猛攻を続け、昨季8位の三菱養和を苦しめた。昇格組の引け目はみじんもなかった。DF石井源(3年)は「プレミアでやれる手応えをつかめた。速さ、強さは負けていない。あとはパスや連係の質を上げれば」と前を向いた。

 道高校サッカー界に新たな1ページを刻んだ。富居徹雄監督(40)は「この時期に全国でベスト16やエイトに入るぐらいの強いチームと本格的な公式戦ができるメリットは大きい」と言った。北海道の高校チームは高校総体予選の始まる5月まで公式戦はなかった。それが4月から全国レベルの相手とガチンコ勝負ができる。道内校のレベル向上にとっても意義深い挑戦だ。

 高校や父母も活躍を後押しする。遠征費用は日本協会が60%負担するが、残りは学校側で負担する。気候的な条件もあって序盤は敵地開催が続くが、今回の試合後は敵地での第2節鹿島ユース戦(21日、アントラーズグラウンド)に向け1週間の千葉ミニ合宿が許可された。父母も足りない遠征費を出し合いサポートしている。「たくさん勝って、点も取って親に感謝したい」と石井。家族の支えも、ハードな全国リーグを乗り越えるエネルギーだ。

 東京入り前日の12日、気合を入れるため、3年生が中心となって丸刈りにした。全国の強豪に気持ちで負けないための儀式。主将の奈良創平(3年)は「北海道のためにも僕らはここで結果を出さないと。ゴールへのこだわりをもっと詰めていきたい」と意気込んだ。痛感した1点の重みは、必ずプレミア1勝への糧に変える。【永野高輔】