<高校サッカー北海道大会:旭川実1-0北海道大谷室蘭>◇28日◇決勝◇札幌厚別公園競技場

 旭川実が1-0で逃げ切り、92、93年度の室蘭大谷(現北海道大谷室蘭)以来9年ぶりの全国高校総体、全国選手権道予選の2年連続2冠を達成した。0-0の後半12分、右コーナーキックからDF遠藤元一(3年)がヘディングで決勝点を挙げ、DF陣も全3試合無失点で乗り切った。今大会の連覇は07、08年度大会の室蘭大谷以来、戦後では史上4校目。12月30日開幕の全国選手権(東京・国立競技場ほか)に挑む。

 王者・旭川実が、貫禄の試合運びで2年連続の頂点へ駆け上がった。0-0の後半12分、右CKをDF遠藤が頭で押し込み、堅守でその1点を守り抜いた。準決勝の帯広北戦もCKから遠藤のヘッドが決勝点をアシスト。2試合連続の大仕事に「いいボールがきた。合わせるだけ。プレミアのチームというプレッシャーがあった。とにかく勝てて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 屈辱的な1年がチームを強くした。今年は道内高校チームとして初めて、全国の強豪クラブが集うプレミアリーグに参戦したが、現在16試合を消化して1分け未勝利の勝ち点1。最下位で来年の道プリンスリーグ降格が決まった。だが富居徹雄監督(40)は「攻め込まれても最後にしっかり抑えられた。守備の面は全国に出たことが大きかった」と言う。全国の強豪に一方的に攻め込まれる中で培った1対1の強さ。道内レベルでは全試合無失点と抜群の安定感となって表れた。

 来る日も来る日も負け試合だった。同リーグでは4月21日の東京Vユース戦で0-6、5月13日の流通経大柏高戦で0-5、7月1日の清水ユース戦が1-6と大量失点を続けた。夏場に不況和音が出始めた。主将のMF奈良創平(3年)は「攻撃の選手は“もっとサポートしろ”。守備の方は“もっとボールを受けに来てくれ”と口論になった」と言う。敵地から戻る移動バスの中で大激論になった。それでも「みんなの考えが分かって逆に良かった」と奈良。空中分解しかけたチームが、胸の内を見せ合うことで絆を取り戻した。

 全国では09年度以来3大会ぶりの1勝を目指す。富居監督は「1つ勝てば勢いに乗れる。4強に行くにはプレミアレベルの相手に勝たないと。そこに勝つための攻撃力が必要」と課題を挙げた。8月の全国高校総体は初戦の流通経大柏戦で、後半ロスタイムに追いつかれPK戦で散った。プレミアと高校総体。跳ね返された全国の壁に、3度目の勝負を挑む。【永野高輔】

 ◆高校選手権道予選の連覇

 戦後では61、62年度の美唄工が初。室蘭大谷(現北海道大谷室蘭)が71~77年度まで7連覇、82~89年度まで8連覇、91~99年度まで9連覇している。04、05年度に北海が2連覇、06、07年度に室蘭大谷が2連覇。今回の旭川実で4校目となる。全国高校総体と全国選手権道予選の2年連続2冠は92、93年度の室蘭大谷以来。