<国際女子クラブ選手権:INAC神戸4-0キャンベラ>◇22日◇浦和◇準決勝

 INAC神戸がキャンベラに完封勝ちし、世界女王の座に王手をかけた。なでしこリーグ得点王でMVPに輝いたFW高瀬愛実(22)が貫禄のミドル弾。後半途中からはMF澤穂希(34)ら主力を次々と交代させ、決勝に向けて温存する余裕もみせた。日テレ対リヨンはリヨンが勝利。決勝はINAC神戸対リヨンの組み合わせで25日にNACK5で行われる。

 リーグ戦では1度も見せたことのないこん身のガッツポーズだった。前半35分。FW高瀬はゴール正面でFWゴーベル・ヤネズからパスを受けると、右足で強烈なミドル弾。相手DFに当たってコースが変わりチーム2点目となった。リーグ得点王とMVPの貫禄を見せ「イメージ通りトラップ、シュートができた結果です。MVPを頂いて、いい責任感が生まれているし、やってやろうと思っていた。次も勝ってチャンピオンになりたい」と言った。

 今年でINAC神戸在籍4年目。新人だった09年はリーグ2位の16得点で新人王も、なでしこジャパンの澤、大野らが加入した昨年は、はじき出されてレギュラー落ち。2得点にとどまった。試合でシュートを外すと次の試合まで1週間、後悔を引きずり、自宅で入浴中にも「アーッ」と叫んでしまう。「去年はリーグ優勝も心から喜べなかった」。

 今年は違う。澤、大野らと話をするときは「今でも緊張する」と言いながら「試合で得点できないと、次の試合で外されてしまう」との危機感でリーグ20得点につなげた。

 チームも昨季のオーストラリア女王相手に、FWゴーベル・ヤネズ、MF大野も得点を挙げ、シュート数でも19対3と圧倒しての完勝。後半20分以降、主力選手を次々と交代させた。星川監督は「リーグでは中2日の経験はないし、大事な選手から代えていった。次は世界でトップのチームだが、自分たちの美しいサッカーができれば勝てると思う」と、リヨンとの頂上決戦へ自信を見せた。

 リヨンは12人のフランス女子代表を擁する。しかし、ロンドン五輪準決勝でフランスを破ったなでしこジャパン7人が、INAC神戸には控える。気後れはない。【福岡吉央】