<高校女子サッカー:藤枝順心1-1(4PK2)常盤木学園>◇15日◇準決勝◇ヤマハ

 史上初3連覇への挑戦が終わった。常盤木学園(東北1・宮城)が藤枝順心(東海1・静岡)にPK戦の末、敗れた。後半16分にMF佐々木美和のゴールで先制したが、勝利目前のロスタイムに痛恨の失点。PK戦ではMF伊藤美紀、DF岡倉海香主将(いずれも3年)が失敗。多くの世代別代表、なでしこリーグクラブへの加入内定選手を擁し、昨季チャレンジリーグを制しながら、最後のタイトルには届かなかった。

 欲しかったメダルの色は、これじゃない。伊藤は表彰式で首にかけられた銅メダルを即座に外し、悔しそうに握りしめた。その後の記念撮影では、ほとんどの選手がそれに続いていた。全4試合にフル出場してチームをけん引した伊藤だったが、3番手で蹴ったPKは枠を捉えることができなかった。「悔しいのひと言しかないです。チームに貢献できなかった。もっとみんなとサッカーをしていたかった…」。目を赤く腫らし、自らを責めた。

 前半から全校応援の後押しを受ける相手に攻め込まれた。それでも、今大会採用していた「4-1-4-1」から選手たちの判断でダブルボランチにシステム変更して流れを引き戻し、後半16分には佐々木が先制弾。しかし、後半ロスタイム、左クロスへの対応があいまいになった隙を突かれた。意気消沈する常盤木学園と歓喜に沸く藤枝順心。PK戦に入る前から、流れがどちらに傾いているかは、明らかだった。

 INAC神戸入りする伊藤やDF平田美紀(3年)、U-19日本女子代表のFW白木星(2年)、スーパー1年生MF小林里歌子と例年通り各学年にタレントがそろい、昨季チャレンジリーグで優勝。ただ、阿部由晴監督(51)は不安を抱えていた。「大人相手だとできるんだけど、高校生を相手にすると良くないんだよね」。1人1人の意識が非常に高く、練習からプロのような雰囲気を漂わせる選手たちだが、同年代相手ではどこか力を発揮しきれない部分があった。

 6大会ぶりに決勝進出を逃したが、下を向いている暇はない。阿部監督は近く3年生を連れてフランス遠征を計画しており、近年急速に力をつけている国から、進化へのヒントを探ってくるつもりだ。伊藤も「悔しい思いを次の舞台に生かしていきたい」と涙を拭った。常盤木学園も、卒業する選手たちも、ここからはい上がってみせる。【亀山泰宏】