“沖縄の星”が今季のキーマンだ。なでしこリーグ仙台レディースのMF高良亮子(23)が1試合目の千葉戦で2試合連続ゴールを決め、3-1での勝利に貢献した。移籍2年目の今季は攻撃的ポジションでの固定起用が見込まれており、結果で適性を証明。2試合目はDF高橋奈々(24)の得点で新潟に1-0。仙台では積雪の影響で戦術練習がほとんどできなかったチームだが、ここまで2日間で3勝1分けと無敗をキープしている。

 早くも開幕スタメン当確となりそうな勢いだ。高良が前日19日に続き、3月30日にホームで迎え撃つ千葉からゴールを奪った。2本目の16分、左クロスから狙った左足でのシュートは1度防がれたが、こぼれ球を右足でねじ込んだ。終了間際に決定的なヘディングシュートが枠を捉えきれず「ああいうのを決めないと。私のダメなところです」と悔しがるあたり、得点が求められている自覚も漂わせた。

 昨季はケガで欠場した1試合を除き、リーグ戦全17試合に先発。フィールドプレーヤーとして、センターバック以外はあらゆるポジションをこなした。その器用さで故障者続出の危機を救った“便利屋”も、今年は事情が違う。交流戦は主にFWとトップ下の中間、いわゆる「1・5列目」で出場しており、千葉監督は「もともと攻撃的な選手。今シーズンはある程度固定したい」と示唆。キープ力も高いだけに「上辻、川村のダブルボランチと高良が中央で持てれば、サイド攻撃も生きる」と具体的な青写真も描く。

 昨年9月には沖縄出身選手では初となる、なでしこジャパン入りを果たした。本人はその後メンバーに定着できていない悔しさをにじませるが、地元紙では正月特集号に「2014年注目のスポーツ選手」としてインタビュー記事を掲載。今では遠く沖縄からも仙台レディースファンクラブへの入会申し込みがあるほど、大きな期待を背負う。

 高良自身、熱望していたポジションだけあって「個人としてどうこうより、チームとして上に行かないと。まだまだ自分はプレーの質が悪すぎる。連動性を高めていきたい」と、どこまでも貪欲だ。昨季1得点だった背番号22の爆発が、浮沈の鍵を握っている。【亀山泰宏】

 ◆高良亮子(たから・りょうこ)1990年(平2)4月9日、沖縄県生まれ。那覇・小禄南小ではFC南に所属し全国大会に出場。中学から神村学園に進学。神村学園高卒業後の09年にINAC神戸に入団。1年目からリーグ戦12試合に出場し、U-19日本女子代表にも選出。なでしこリーグ通算58試合出場、3得点。好きな選手はMFイニエスタ(バルセロナ)。158センチ、51キロ。血液型O。