アジア17の国と地域でプレー経験があるプロサッカー選手のMF伊藤壇(39=登別大谷高出)が、同じ志を持つ日本人選手を後押しする活動を立ち上げる。12月1日にタイの首都バンコクで実施する「チャレンジャス」は、志望者の練習場確保など環境面を整えた上で、プレー経験のあるリーグを中心に、傘下チームへの練習参加などを仲介していく予定。自身が独学で得たノウハウを、後進へと伝える。

 東南アジアを中心に17の国と地域でプレー。アジアを渡り歩いてきた伊藤が、タイの首都バンコクで「チャレンジャス」を始動する。アジアサッカーに挑む選手たちを集め、合同トレーニングや練習試合を行う。「タイであれば、東南アジアのどんな国にでも挑戦できる。1人でも多くの日本人に選手として生きる場所を見つけてもらいたい」と話す。

 今回はアジアの移籍市場が活発になる12月限定でオープン。参加費用は、可能な限り安価に抑える予定だ。参加者は合同練習を続けながら、各国リーグ傘下のチームの契約方法、心構えなど、伊藤の講義を受けられる。「すでにいくつか集まっている」という求人、セレクション情報も利用できる。週末にはタイ国内のチームや周辺国から合宿で訪れるチームと練習試合を実施予定で「そこでアピールして、入団が決まるケースもある」という。

 近年のアジア圏リーグはレベルが上昇。外国人枠もあり、Jリーグ経験者でも契約の保証はない。伊藤も宿泊先近くの公園でボールを蹴りながら体調を整え、チャンスを待った時期もある。一方で契約に成功すれば、豪華コンドミニアムでの優雅な生活と、Jリーグ以上の年俸が手に入るケースもある。チャレンジャスで体調を整えられれば「最高のコンディションで、最高のパフォーマンスをアピールできる」と伊藤はいう。

 今回は自身も同じ場所で本格的に調整。来年早々にも、未経験の国、地域のチームに挑む。参加者にとっては、39歳でも次を目指すフロンティアから直に生き方を学べるチャンス。「同じ目標を持った選手たちと切磋琢磨(せっさたくま)して、また次を切りひらきたい」。タイから“チャレンジャス”な生き方を発信する。【中島洋尚】

 ◆伊藤壇(いとう・だん)1975年(昭50)11月3日、札幌市生まれ。小学3年でサッカーを始める。登別大谷高3年時には全国高校選手権に出場し、2回戦の矢板東(栃木)戦でハットトリック達成、3回戦まで進出した。仙台大を経て、98年にブランメル仙台(現ベガルタ仙台)に入団。01年のウッドランド・ウェリントン(シンガポール)を皮切りに、各国のトップリーグで活躍してきた。ポジションはMF。173センチ、71キロ。