ゴンが支援の輪拡大に貢献した。J2札幌は3日、札幌宮の沢白い恋人サッカー場で東日本大震災復興支援チャリティーイベントを行った。U-18との練習慈善試合でFW中山雅史(43)が、練習試合、公式戦含め移籍後初の先発出場。前半45分、被災地復興の願いを込め、懸命のプレーを披露した。公開オークションでは思い出のシューズを出品し、1650人のファンにチャリティーへの協力を呼び掛けた。

 ファン待望のサプライズだった。先発1トップを務めた中山は、猛吹雪の中を夢中で走った。同32分の得点にも陰ながら貢献。MF砂川の左からのFKに走り込むと、U-18のDFをファーサイドに引きつけ、空いたニアサイドから上原がバックヘッドでゴールを決めた。ボールを持つたび歓声を巻き起こし、集まった1650人のサポーターを盛り上げた。

 「でもこんな情けない結果じゃ寒い中、来てくれた人に申し訳ない」。慈善試合はユース相手に1-1とふがいないものだったが、試合後には取って置きのプレゼントを用意していた。イベントの最後に行われた公開オークションで出品したのは07年のオールスターでオウンゴール含め“2得点”を挙げ、MIPに輝いた際のお宝シューズ。子どもたちも参加できるように10円から始めた入札は瞬く間に上限5万円に達し、最後はファン2人のじゃんけん落札となった。

 ゴン節もさく裂した。「サイズは26だけど27の人でも19の人もはけますからね。持ってれば一生いろいろと遊べますよ。野菜も入るからエコバッグにもなるからね」。慈善試合では右腕に全選手が喪章を巻き、会場には半旗が掲げられたが、努めて明るく振る舞うことでJリーガーとしての使命をまっとうした。

 公開オークション直前には「時間があったから。少しでも喜んでもらえたらと思って」と、待ち時間を利用して即席のサイン会にも応じた。「座っている人は僕らより寒い中で見てくれている。こんなに熱い気持ちを寄せてもらっているんだとあらためて感じた。だからこそホーム開幕戦ではいいプレーを見せないと」。札幌・宮の沢のスタンドは積雪で使えないバックスタンド周辺を除いて満席。大雪の中、集まった1650人分の熱意は、23日の湘南戦勝利で恩返しするつもりだ。【永野高輔】