被災に苦しむ仙台に、Jリーグ各クラブが異例の援助作戦を検討し始めた。先月31日に都内で行われたJリーグ運営担当者会議で、仙台の担当者がホームゲームの大幅観客減の可能性に言及。「アウェーサポーターをたくさん呼んでいただければ助かります」と、各クラブに協力を求めた。これに対し、すでにいくつかのクラブがオフィシャルバスツアーの増員の検討を開始した。今後もさまざまな形で、アウェー仙台戦を盛り上げるアイデアが飛び出してきそうだ。

 仙台は被災に苦しむクラブの中でも、もっとも甚大な被害を受けた。今も多くのサポーターが満足な日常生活を送ることができていない。リーグは23日に再開する。仙台の再開初戦はアウェー川崎F戦だが、29日には本拠地ユアテックスタジアム仙台に浦和を迎える。

 運営担当者会議の冒頭、仙台の担当者は事態の深刻さを説明した。出席者によると、あまりの厳しい現状に各クラブ担当者たちは言葉を失ったという。仙台担当者は、当面の交通事情の悪さと、例年通りの受け入れ態勢がとれないことをわびた後、異例の申し出を行った。

 ホームゲームの大幅な観客動員減の可能性が高いことを示唆した上で「どうかみなさんにご協力いただければ」と懇願した。アウェーサポーターの動員増のお願いだった。たとえ相手チームの応援が大幅に増えても、選手には多くの観客が集まった中でプレーしてほしい。その盛り上がりが復興の手助けにもなると考えた上での申し出だった。

 苦境に立たされた“仲間”から出た悲痛な叫びに、いくつかのクラブが早くも動きだした。関係者によると、横浜をはじめ、もともとオフィシャルバスツアーを計画していたクラブが、ツアーの募集人数の増員を検討し始めた。

 仙台も受け入れ態勢を整え始めた。オフィシャルではないが、浦和サポーターによる自主的なバスツアーの駐車場確保に動いた。同カードのチケットは19日から発売されるが、クラブ関係者は「どれだけのサポーターに駆けつけていただけるのか、正直不安はあります」という。仙台アウェー戦に向けた各クラブの取り組みが注目される。