<J2:湘南1-0札幌>◇第8節◇23日◇札幌ドーム

 ゴールが遠い…。J2札幌はホーム開幕戦で湘南に敗れ、08年以来3年ぶりの開幕2連敗となった。前半はチャンスをつくったものの決定力を欠き無得点。後半23分に失点後、追いつくことはできなかった。前節も愛媛に0-2の敗戦で、開幕2戦無得点はクラブ史上初。中断期間の修正で攻守ともに開幕戦から進化した姿は見せたが、ゴール前での精度に課題を残した。

 ホーム札幌ドームがため息に包まれた。後半ロスタイム、MF古田からの右クロスがゴール前に上がった。ラストチャンス。ゴール前にこぼれたボールにFW横野が足を伸ばすも届かず蹴り出され試合終了。同ドームでのホーム開幕戦観客数は史上最低の1万1734人。開幕2戦無得点と合わせ、屈辱のダブルワースト試合となってしまった。

 一瞬のスキをつかれた。後半23分、左サイドを崩された。MF宮沢がボールをかすめ取られ、佐々木、永木のワンツーパスからタッチライン際をえぐられた。左サイドバック岩沼も、永木と佐々木の2選手を同時にケアしようとちゅうちょ。結果的にフリーでクロスを上げられ坂本にヘディングでゴールを許した。「ゴールラインまでえぐられたので中の自分たちも一瞬、下がってしまった。その前にスペースができてしまった」と高木純。サイドと中央での判断のずれが重なり、重い1点を献上した。

 敗れたが決して悲観する内容ではない。石崎信弘監督(53)は「やろうとしている形はできた。選手たちも戦う姿勢を出してくれた」と振り返った。後半12分から同20分まで、MF近藤の左クロスから3連続で決定機をつくった。だが、すべて一瞬の遅れでDFに跳ね返されるなど、シュート前のラストプレーの精度や判断の速さが勝敗を分けた。

 中断期間の実戦相手は大学生のみ。資金難の影響で道外での遠征試合が行えなかったことも大きかった。拮抗(きっこう)した相手との実戦の少なさも影響した。失点後は運動量が落ち宮沢は「足が止まった」と話した。学生相手の90分とプロ相手では走る距離も違う。その微妙なギャップが1点の差に表れた。

 湘南の反町監督は「ゲーム感覚の差が自分たちに有利に働いた。だが札幌が毎週試合をこなすようになれば怖い存在になる」と警戒した。ようやくシーズンが再開。ゴール前までの絵は描けた。開幕2連敗は痛いが、シビアな公式戦の中で成長し、昇格戦線に生き残る可能性は十分、秘めている。【永野高輔】