J2横浜FCのFWカズ(三浦知良=44)が今冬、Fリーグ(フットサル・リーグ)に参戦することが9日、明らかになった。2年前にJリーグとFリーグ間で、参戦へのルールが作られており、日程など最後の詰めがクリアすれば、今季終了後(リーグ戦は12月3日最終節)、Fリーグでプレーする。受け入れ先は、エスポラーダ北海道(札幌市)で、サッカーのオフ期間限定の挑戦となる。サッカー界トップの知名度を誇るカズが、今度はフットサルを日本全土に広める。

 カズが、新たなジャンルに挑戦する。93年のJリーグ創立時は、プロリーグの象徴として全国にアピールし、J2でもリーグ全体を盛り上げたキングが、今度はフットサルのため、一肌脱ぐ。

 現在、今季終了後Fリーグ・北海道でプレーすることを打診され、関係者によると「本人は前向きに考えている」という。横浜FCは12月3日にリーグ戦の日程が終了し、トーナメント方式で行われる天皇杯も含め、カズのフットサルデビューは今季の全日程終了後となる。

 フットサル連盟会長を務める大仁邦弥・日本サッカー協会副会長(66)は「現在協議中です。カズはぜひオフの期間中はFリーグでもプレーしてもらいたいと思っている。同じサッカーファミリーとして、カズの元気をフットサルにも分けてほしい。カズだけでなく、他のJリーガーもオフはFリーグでプレーできるように、細かいルール作りの詰めをやっているところです」と明かした。

 Fリーグは一昨年、Jリーグのクラブに籍を置きながら、Fリーグでプレーできる新ルール(Jリーグ選手枠)を設けた。Jリーガーに限っては、加入時期を通常の登録期限に限らず、常時可能とした。

 昨年12月にもカズのFリーグ参戦を打診し、本人も前向きだったが、当時はJリーグとFリーグ、さらにクラブ間での具体的な取り決めが未解決だったため、断念した経緯がある。

 リーグ同士、クラブ同士の取り決め、規約、さらには細かい条項などが完成すれば、カズのFリーグ参戦の支障は何もなくなる。Fリーグは、新シーズン(7月~翌年2月)が開幕する7月までには、こうした条項、規約作りを完了する予定だ。

 現在所属している横浜FCのメーンスポンサー・LEOC(レオック=給食受託事業)は、Fリーグ北海道のオフィシャルパートナーでもあり、クラブの理解も得やすいことから、Fリーグの北海道でプレーすることになる。さらにカズが長年スパイクの個人契約を結んでいるプーマ社は、フットサル全日本選手権(通称プーマ杯)をバックアップするなど、フットサルに深い理解を示していることも追い風になっている。

 カズのFリーグ参戦は、低迷を続けるフットサル人気を浮上させるきっかけとなる。大仁会長は「今、サッカーファミリーの中で、最も影響力のある選手はカズ。3月のチャリティーマッチ(長居)でも、その人気は証明されている。観客が増えることだけでなく、日本中にフットサルをアピールできる、いいチャンスです」と期待した。

 元ブラジル代表MFロナウジーニョはフットサルでテクニックを磨き、世界有数のファンタジスタになった。カズがFリーグに参戦し、観客が試合に足を運び、競技人口が増えれば、その効果は計り知れない。現在は、Jリーグで契約解除になった選手がフットサルに転向することが多いが、フットサルの認知度が上がれば、今後はフットサル出身のサッカー日本代表が出現する可能性もある。

 15歳でブラジルに渡ったパイオニアが、約30年の歳月を経て、日本のサッカー界に新たな道筋を作る。