磐田のGK川口能活(35)FW前田遼一(29)MF山田大記(22)が15日、岩手県遠野市で行われたJリーグ選手会主催のサッカー教室に参加した。前日14日のアウェー仙台戦後に岩手入りし、地元の小中学生約100人とサッカーを通じて交流を深めた。

 試合では見せない優しい表情だった。この日は東日本大震災で被害を受けた同県の子供たち約100人と2時間、シュート練習やミニゲームなどを行った。その後の炊き出しでは、子供たちと昼食を共にした。川口は「無邪気にボールを追っている姿を見て安心しました」と話した。

 参加者の中には、津波による被害が大きく家が半壊した子供もいた。それでも、大きな声を張り上げ、満面の笑みでサッカーを楽しんでいた。川口は「想像できないほどのつらい経験をしたと思う。今でも何て言葉をかけていいのか分からない。でもこんなに楽しんでくれて、逆に元気をもらった」。前田も「今までは映像でしか見ていなかった。実際に来てみていろいろなことが分かって、よかった」と素直な気持ちを明かした。

 この日は活動後、すぐに帰静する予定だったが、選手の強い要望で被害の大きかった沿岸部を訪問した。山田が「これからもこういう活動があれば参加したい」と話せば、前田は「チームは静岡ですが、ぜひ見に来てください」と子供たちに呼び掛けた。川口も「僕らはプロとして、サッカーを見せる。時間が許す範囲で、どんどん活動をやっていきたい」。被災地の空気を肌で感じ、気持ちを新たにしていた。【神谷亮磨】