<J1:横浜4-0甲府>◇第12節◇21日◇日産ス

 横浜が新加入のMF谷口博之(25)の今季初ゴールなどで甲府に完勝し、ホーム2連勝で暫定2位に浮上した。横浜の下部組織育ちながら川崎Fでプロとなった谷口にとっては、8年越しの夢舞台でのゴールとなった。昨季は川崎Fで出場機会に恵まれず復活を期す男が“初恋”のチーム横浜の7年ぶりの優勝に向けて駆け回る。

 スポットライトを浴びるように日の光を受け、両手を広げてゴールの味をかみしめた。憧れたトリコロールのユニホームを着た谷口が、少年時代から夢を描いてきた舞台で歓喜に浸った。前半11分、MF中村のCKに、ニアサイドで跳んだ。頭にピシャリ。「ボールが良かった。(中沢)佑二さん、(栗原)勇蔵君に相手がつられたし、全員で取った得点です」。ただ、仲間に感謝した。

 横浜は“初恋”の相手だった。下部組織で育ったが、トップチーム昇格はならなかった。高校卒業の04年は、横浜の黄金期。新人が入る余地はなかった。ユースからの昇格は0人。クラブ関係者は「どうしてもタニ(谷口)だけは上げてくれとお願いしたのを覚えています」と振り返る。

 川崎Fに誘われてプロ入り後、ボランチからFWまでこなせる才能が開花した。06年にはリーグ33試合13得点でベストイレブン、08年には北京五輪に出場。神出鬼没のゴール感覚に、当時の関塚監督は「そこにタニがいる」と名文句を残した。

 MF稲本の加入もあった昨年は、8月以降のリーグ19試合で先発は2度。心機一転を期すところに、声をかけてくれたのが横浜だった。「夢がかなった。恩返しをしたい」。8年越しの“恋”はついに成就した。

 この日は、これまでのボランチではなく、トップ下で先発。持ち味の運動量が光った。日本協会の原強化担当技術委員長も見守る中、持てる力を発揮した。くしくも谷口がプロ生活を始めた04年以来の優勝を狙う横浜。いまその中核に、「タニがいる」。【阿部健吾】