ドイツからブラジルへ!

 日本代表FW宇佐美貴史(19=G大阪)が今夏、ドイツ1部の強豪バイエルン・ミュンヘンへ移籍することが、2日までに決定的となった。現在は契約の細部を詰めており、近日中にも正式決定する見込み。イタリアの複数チームからもオファーがあったが、あえて各国代表がそろい、定位置も用意されないブンデスの名門で、もまれることを選んだ。14年ブラジルW杯の中心として期待される「日本の宝」が、まずはドイツで世界への第1歩を踏み出す。

 「ガンバの宝」から、たくましい「日本の宝」へ宇佐美がドイツ行きを決断した。関係者によれば、ただ1人の10代日本代表には、来季からセリエAに昇格するアタランタのほか、パレルモなど欧州の複数チームが獲得意思を表明。しかし厳しい競争を覚悟の上で、宇佐美はあえて世界的強豪のBミュンヘンを選んだ。

 当初は14年ブラジルW杯後の海外構想を描いていた。事実、今年1月、Bミュンヘンからの練習参加の要請を断っていた。しかし今季序盤、不調に陥って宇佐美自身がレベルアップの必要性を痛感。才能を認め合う同学年のFW宮市亮(フェイエノールト)が活躍していたのも刺激になって次第に気持ちが揺らいでいった。ドレムラー・チーフスカウトが徹底マークしていたBミュンヘン側が、5月下旬にチームに正式オファー。一気に移籍に傾いた。

 関係者の「移籍はタイミングと縁。ブラジルW杯の後にオファーがあるとは限らないから」という後押しもあった。世界トップで戦うために、屈強がそろうドイツで「課題」という細身の体も鍛え上げてW杯に向かうつもりだ。

 先月、結婚した蘭夫人(19)も一緒にドイツへ渡る予定で、二人三脚での挑戦。最近はチームメートに移籍意思を固めたことを伝え、語学の習得に意欲を見せている。じっくり腰を据えて未来へと向かうつもりだ。

 宇佐美はG大阪とは5年契約の3年目。関係者によれば、契約内容には海外移籍の希望を止められない条件が入っているという。残り1年半の期限付き移籍の方向で話し合われており、G大阪の最終決断を待つ状況になっている。

 ペルー戦では試合にこそ出場できなかったが、代表入りで得るものは多かった。この日、新潟市内で日本代表の練習に参加。移籍について「何も話せません」と言いながら、代表での収穫を口にした。

 宇佐美

 海外組の会話をかなり聞いています。厳しい環境でやっている選手は技術面もそうだし、メンタル的にも勉強になる。自信が見える。

 ブンデスデビューは、早ければ8月5日予定の開幕戦。ドイツで成長してブラジルへ。宇佐美の飛躍プランはこれからスタートする。