<J1:名古屋1-0磐田>◇第14節◇11日◇ヤマハ

 昨季王者の名古屋を迎えた磐田は、後半44分に先制点を許し、今季ホーム公式戦初黒星を喫した。

 最後の最後に力尽きた。前半から相手の中盤にボールを支配される時間が続いた。守備陣はシュートエリアで体を投げ出し決定機をしのいだ。だが、後半44分、サイドからの折り返しをゴール前で押し込まれて失点。再三、好セーブを見せていたGK川口能活(35)は「当然勝ちたかった。でも相手はうまかったし、仕方ない」と完敗を認めた。

 相手の流動的な中盤5選手に翻弄(ほんろう)され、マークにズレが生じた。ボールを奪取し、攻撃に転じても守備に人数をかけているため、FW前田とFW山崎が孤立。落ち着いて前線にボールを供給できなくなり、得意のサイド攻撃は鳴りをひそめた。後半25分にはDF駒野の折り返しを山崎が右足で放ったが、この日最大のビッグチャンスをモノにできず「決めるところを決めないと勝てない。まだまだです」と悔しさをにじませた。

 ただ、下を向いている暇はない。次戦は首位の柏と対戦し、中2日で鹿島というアウェーでの2連戦となる。さらに、今季の好調を支えてきたMF山本康と山崎はU-22日本代表合宿に参加するため、不在となる。悪い流れを断ち切るためにも、負けられない試合が続く。柳下正明監督(51)は「今日は悪いゲームではなかった。これから試合が続くのでしっかりと準備していきたい」と気持ちを切り替えた。

 長所を出せないまま、惜敗したが、ベストメンバーを組んだ昨季王者に善戦した。川口は「修正するところはそんなにない。次の試合が本当に大事になってくる」。DF藤田も「今日の反省を次に生かしたい。これからもっとよくなってくると思う」と手応えを口にし、次戦を見据えた。上位に踏みとどまるためにも、ここからが本当の正念場だ。【神谷亮磨】