“牧場爆走王”がJ2ピッチをかき回す。J2札幌の新加入FWレモス(21)が12日、入団会見を行った。前日11日に来日し、この日から早速、札幌・宮の沢でランニングを開始した。背番号は35に決定。早ければ週明けにもメディカルチェックを行い、21日京都戦(函館)でのデビューを目指す。母国ブラジルでは、牧場で馬を追いながら鍛えた100メートル10秒台の快足を生かし、J1昇格に貢献する。

 高さのジオゴに加え、速さのレモスも合流した。この日はランニングしながら、さりげなくチームメートを横目で観察。入団会見では風が舞うクラブハウス屋上で起用にヘディングもこなした。愛嬌(あいきょう)たっぷりの21歳は「早くレギュラーに入ってJ1昇格に貢献したい」と笑顔を見せた。

 100メートル10秒台の俊足を生かした縦への突破力が武器だ。「サイドに開いて受け、前向きに仕掛けるのが好き。FWでもトップ下でもサイドハーフでもいけるさ」。自身の目標は「5点から8点ぐらい」と謙虚だったが「自分よりもジオゴにたくさん点を取ってもらえるようなプレーができれば」と、チャンスメメーカーも兼務する覚悟だ。

 少年時代に牧場で馬を追いかけながら“サラブレッド級”の脚力を養った。馬は追うだけでなく乗るのも趣味だ。偶然にも馬産地・北海道でのプレーがかない「試合に勝った翌日は牧場で馬に乗ってリラックスしてみたいな」と独自の“勝利給”プランも想定した。前所属のアペラリオは12月で退団し無所属だったが、2月に練習参加した横浜では清水とのプレシーズンマッチに出場し、1ゴールを挙げた。プレスの早いJリーグの対策も頭に入れてきた。

 07年に在籍したオーストリアのザルツブルクでは元日本代表DF宮本、MF三都主とチームメート。当時17歳だったレモスにとって三都主はいい兄貴分だった。食事にも頻繁に誘ってもらい日本について「きっと母国に帰りたくなくなるぐらい、いい国だよ」と聞いていた夢の新天地。すし、牛丼、焼きそばが好きな“プチ日本通”だけに、チームへの順応も早そうだ。【永野高輔】