<J2:鳥取0-1札幌>◇第32節◇22日◇とりスタ

 ここが試練の時だ。J2札幌は鳥取に敗れ、今季初の3連敗を喫した。0-0の後半33分に失点。その後は、岡本、上原、古田と攻撃的選手を投入したが、前節まで19位に低迷する相手に無得点に終わった。3試合連続無得点は開幕からの3試合以来今季2度目、3戦連続の完封負けは07年以来4年ぶりとなった。今日23日の4位徳島、5位千葉の結果次第では昇格圏外の5位転落の可能性も出てきた。

 執念も実らなかった。後半ロスタイム、右サイドでのFKのキッカーはGK李。フィールドプレーヤー全員がゴール前に上がるパワープレーも、ボールはFW上原の頭を越えて、土砂降りのピッチの上をむなしく転がっていった。今季初の3連敗。MF宮沢裕樹(22)は「集中してゼロで守れていたのに。一瞬の油断が失点につながってしまった」と肩を落とした。

 “カウンター返し”を食らった。後半33分、こぼれた球を拾ったMF近藤が攻撃に転じて出したパスが奪われ、逆にカウンターを浴び失点した。「悔やまれる1発。オレのミス…。胃が痛い。全般的にミスが多かった。反省しないと」。攻撃も、FW内村圭宏(27)が前半7、42分と相手DFの裏をつき、決定機をつくったが、ゴールを奪えず3試合連続無得点に終わった。「責任を感じる。今までは際どい試合を勝ってきた。2本チャンスがあった。簡単ではないけど1本は決めないと」と内村。白星は2日の横浜FC戦が最後。20日間、勝ち点から見放されてしまった。

 だが、痛みをともなわない昇格はない。3試合連続の完封負けは、前回昇格した07年9月5日の徳島戦から同22日の湘南戦で記録して以来となる。4年前も好調時の勢いを1度、失いはしたが、そこからはい上がりJ2頂点に立った。当時を知るMF砂川は「試練の時。チームとして試されている。下向くことは簡単だが、少しでもここで上を向くこと」と言った。どん底を味わってこそ、悲願達成の重みが出てくる。

 勝負は次の徳島戦だ。昇格争いをする相手との直接対決が中3日で待っている。今日からチームは徳島ミニ合宿に入る。石崎信弘監督(53)は「時間は少ない。まずは精神的な切り替えからやっていく」と言った。ここまできたら戦術や技術よりも気持ちだ。厳しい戦いを乗り越え、札幌が再浮上を目指す。【永野高輔】