G大阪監督を今季限りで退任した西野朗氏(56)が8日、大阪府内で浦和幹部と極秘会談した。次期監督選びが難航する浦和の橋本光夫社長(62)らと2時間半、初めての本格交渉。さいたま市生まれの西野氏は故郷からのオファーに感謝しながら、10年間指揮してきたG大阪への思いなど複雑な心境を明かした。西野氏は熟考を重ね、年内には浦和側へ返答する見込み。

 浦和の橋本社長、山道強化部長ら幹部3人が、埼玉から大阪まで足を運んで臨んだ初の本格交渉。スーツ姿の西野氏は、まず感謝の言葉を並べた。

 西野氏

 あいさつというかビジョンを聞いた感じ。自分をどう評価しているとか、レッズがこれからどういうことを考えているかとか。(評価は)ありがたい。日本を代表するビッグクラブで、たくさんの指導者があこがれるチームですから。地元だし、育ててもらった恩返しをしなきゃいけないとも感じている。

 西野氏はさいたま市生まれ。「昔遊んでいたところがブルドーザーで埋め立てられて駒場になった。地元中の地元」と故郷への思いは強い。

 ただ、一方で10年間も指揮を執った「G大阪色」から抜け出せない心境も明かす。即答はせず、浦和への返事は保留した。

 西野氏

 G大阪で10年やってきて、すぐにチャレンジとはなれないよね。まだG大阪の青い血が流れているし。ずっと(浦和は)敵だったわけだし。選択する時間がほしいと猶予を与えてもらった。退任告げられて間もないし、G大阪の解団式(6日)からすぐだし。前向き…ではないよね、まだ。

 G大阪を強豪に仕立て上げた西野氏には、国内外のクラブがオファーを出す。G大阪もクラブ運営の相談役としてゼネラルアドバイザーを打診。今は「年内には結論を出したい」と熟考していく。故郷への思いと古巣への思い--。揺れる西野氏が、人生を懸けた決断を下すことになる。