<天皇杯:C大阪2-2(PK6-5)清水>◇準々決勝◇24日◇長居

 クラブ史上初タイトルを目指すC大阪が、PK戦の末に清水を下し、6年(大会)ぶり5度目のベスト4進出を果たした。日本代表MF清武弘嗣(22)が1ゴールを挙げるなど全2得点に絡む活躍。PK戦でも1番手で成功させ、4回戦の仙台戦に続いて2試合連続でPK戦を制した。29日の準決勝はC大阪-J2東京(長居)、京都-横浜(国立)の顔合わせとなった。

 ピッチで格の違いを見せつけた。延長前半3分、MF清武はゴール正面でパスを受けると、相手DF2人をドリブルでかわし、左足で一時は勝ち越しとなるゴールを決めた。「正直きつい試合で疲れたけど、勝ってよかった」。突入したPK戦では清水の7人目、GK山本のシュートがポストに跳ね返されると、22歳の主役は歓喜の輪の中でもみくちゃになり、4強進出を喜んだ。

 この日の先発の平均年齢は23・3歳。中盤から前は全員が23歳以下という若い布陣を清武が引っ張った。前半11分にはMFキム・ボギョンの先制点をお膳立て。プロ初先発を飾った俊足MF村田にもカウンターから何度もロングパスを出し、チャンスを演出した。MF倉田はG大阪への復帰が濃厚だか、来季のC大阪を支える若い攻撃陣を操る姿は、まさにピッチ上のリーダーそのもの。ひと足早い2012年版セレッソのお披露目だった。

 PK戦では17日の4回戦仙台戦に続き、清武が1番手のキッカーに指名された。「(順番は)また変わらない、蹴るなと思っていた。PKは気持ちなんで」。冷静にゴール左に蹴り込み、勝利への流れを作った。練習でもまず外さない男は本番でもクールだった。

 今季限りで退任するレビークルピ監督も「PKは自信があった。いいキッカーがそろっているし、皆自信に満ちあふれた表情をしていたから」と、若い選手たちを褒めたたえた。

 これでチームは今季、長居で9勝1分け2敗。ACL、リーグ戦と続いていた本拠地での勝負強さは天皇杯でも変わらなかった。そして目指すはC大阪として悲願の初タイトルだ。前身ヤンマーは68、70、74年度の計3度も天皇杯優勝を飾っているが、C大阪に移行後は天皇杯準優勝3度など日本一目前で涙をのんできた。

 清武は「ここまで来たら元日まで行きたい。優勝しか考えていない」と静かに必勝を誓った。準決勝も同じ長居に、J2東京を迎え入れる。レビークルピ監督の勇退に花を添えるためにも、日本一しか頭にない。【福岡吉央】