早くも石さんチェックが入った。J1に昇格したコンサドーレ札幌は16日、札幌ドームで今季初のチーム練習を行った。この日は疲労回復度を測定するペース走と石崎信弘監督(53)主導での基礎トレーニングとなった。指揮官は初日から、新加入FW大島秀夫(31)、MF高柳一誠(25)、山本真希(24)にハードなフィジカルトレーニングを課した。厳しいJ1舞台を勝ち抜くための“しごき始動”となった。

 石崎監督が早速、新戦力の能力見極めを開始した。約20分間のペース走を終えると、すぐにボールをつかったフィジカルメニュー、通称“鬼のフィジテク”が始まった。疲れが残る中、休む間もほとんど与えられない。約10メートルの間隔を、キック、ヘディング、胸パスをしながら往復し続ける究極のしごきが始まった。この日、初体験となった大島、高柳、山本の3選手はへろへろ。終了後はそろって「かなり疲れました。これは、きついっすね…」と声をそろえた。

 厳しい要求は、期待の裏返しでもある。指揮官が新戦力に求めるのは当然、高い技術を生かしたチームのレベルアップだ。だが、その前に乗り越えてほしい関門がある。このフィジテクは、疲労で頭が回転しないときにいかに的確な動作ができるかを図るトレーニングでもある。その点、石崎監督は「みんな技術的には問題ないね」と、補強選手のパフォーマンスに一定の評価を下した。

 通称“石崎の穴”と呼ばれる地獄の練習がある。シーズン開幕後、出場機会の少ない若手選手や、メンバー外になった選手が試合翌日に突如、このフィジテクを個別に課されることがある。今回はすべての選手が順番にこなしたから負荷は半減したが、1人となれば疲労度は何倍にもなる。先発出場を続ければ回避されるだけに大島は「試合に出られるように頑張らないと」と気を引き締めた。

 汗だくの新戦力に次々とハードメニューを課していった指揮官。大声でもり立てながらムチを振るう姿は、鬼軍曹そのものだ。31歳のベテランFW大島はミスをして腕立て伏せを何度も繰り返した。昨年は実施しなかったが、10年以来2年ぶりに復活した“しごき初め”。「このフィジテクなんて序の口じゃ」と、今日17日からの負荷強度アップを示唆した。石崎流のムチで、一気にムードを引き締めていく。【永野高輔】