高校3年でA代表入りしたJ2京都のFW久保裕也(18)が、今夏に欧州移籍する可能性が高まった。現在ブンデスリーガ首位で日本代表MF香川真司(22)が所属するドルトムントが、獲得に乗り出していることが11日、分かった。他にも欧州の複数クラブが調査を進めているが、現時点でドルトムントが有力。交渉が順調に進めば、夏に正式決定する。

 日本代表の未来のエース候補が、18歳で欧州に飛び出す可能性が高まった。現在ブンデスリーガ首位で連覇への道を突き進んでいるドイツ強豪ドルトムントが獲得に動いており、移籍先の有力候補に挙がっていることが判明。他にもドイツを含む欧州の複数クラブが獲得調査を進めているという。久保の欧州挑戦に障害は少なく、今夏にも移籍が実現する方向だ。

 久保本人も早期の欧州移籍を希望している。2月24日の親善試合アイスランド戦に向けた日本代表合宿に初招集され、注目度がヒートアップ。1学年上のFW宮市亮が同じ18歳だった一昨年末にアーセナルと契約し、現在も期限付き移籍先のプレミアリーグ・ボルトンで活躍する姿に刺激を受けた。関係者は「久保は京都との契約上でも、海外移籍の場合はスムーズに(交渉が)進むようになっているようだ」と明かした。

 ドルトムントはまだ無名だった香川を10年に獲得しただけでなく、19歳のドイツ代表MFゲッツェらを擁し、将来性ある若手の獲得と育成に定評がある。10代後半から20代前半の選手を積極的に起用しながら自信と経験を植え付け、ブンデスでも屈指の強豪として君臨する。日本代表定着を目指す久保にとって、最高の環境ともいえる。さらにマンチェスターUとACミランが獲得に動いている香川が、今夏に移籍する可能性が高く「ポスト香川」という意味合いもあるという。

 久保はこの日、ホーム開幕戦となる千葉戦に先発した。前半31分、後半20分とバー直撃のシュートを放ちながら無得点で途中交代し「(得点を)決めたかったです。決めたらもっと(勝利に)貢献できたのに」と悔しがった。それでも潜在能力はピカイチ。今日12日には立命館宇治高の卒業式に出席。日本の原石が、いよいよ世界へ羽ばたく。

 ◆久保裕也(くぼ・ゆうや)1993年(平5)12月24日、山口県生まれ。FC山口でサッカーを始め、山口鴻南中卒業後に京都ユース入り。立命館宇治高に在学。昨年4月24日岡山戦でJ2初出場初得点するなど昨季は30試合10得点。天皇杯は3試合3得点で準優勝に貢献。U-16(16歳以下)日本代表から各年代の代表に選出され、今年2月にA代表入り。177センチ、68キロ。

 ◆ボルシア・ドルトムント

 1909年創設。昨季のドイツ王者で、過去に7度ブンデスリーガを制した。96-97年シーズンには欧州チャンピオンズリーグを制覇し、97年のトヨタ杯も優勝。10年に日本代表MF香川を獲得した。ビールの名産地としても有名で、クラブはドイツ国内でも屈指の人気を誇る。本拠地シグナル・イドゥナパークは収容約8万人。ユルゲン・クロップ監督。