若い力で負のデータをはね返す!

 札幌は今日31日、静岡・アウトソーシングスタジアム日本平で清水と対戦。今季3戦は1分け2敗と未勝利だが、ゲーム内容はほぼ互角だ。昇格組で開幕3戦未勝利から残留したのは過去3例。中でも松井大輔、朴智星を擁した02年京都、乾貴士、香川真司を擁した10年C大阪は、20代前半の若手がけん引して躍進した。12年札幌もヤングパワー爆発で、一気に上昇気流に乗る。

 札幌の若人衆が、浮上へのキーマンだ。清水戦のメンバーには23歳のDF岩沼俊介、岡本賢明、22歳のGK李昊乗、MF宮沢裕樹、18歳の奈良竜樹、榊翔太と「U-23」組が6人入った。30日、札幌・宮の沢で前日調整を終えた岩沼は「ベテランの河合さんたちが引っ張ってくれているが、頼ってばかりではダメ。若手が率先してやる部分も出していきたい」と言った。10代から20代前半の“ピチピチーム”爆発で、念願の今季初勝利をつかむ。

 過去、昇格組で開幕3戦未勝利だった10クラブ中、残留したのは3例しかないが、そこにヒントが隠されていた。02年京都は21歳の朴、松井ら、10年C大阪は同じく22歳の乾、21歳の香川、清武ら伸び盛りの若手がチームの核になった。石崎監督は現状について「岡本や岩沼ら若い選手が良くなっている。奈良も試合をこなすごとにレベルアップしている」と手応えを口にした。ベテランだけでなく、20代前半や10代の選手も軸となって戦う今季。V字浮上の素地は十分ある。

 選手にも自覚が芽生えてきた。今季、岩沼は練習後に20歳のMF古田、19歳のFW三上、DF櫛引ら後輩を食事に誘い「若手会」を開いてきた。グアム合宿後には宮沢、櫛引ら4人の若手が集まり、決起集会を開いた。「年の近い先輩と、いろいろ話せる貴重な時間」と三上。合宿中の部屋割りも斉藤マネジャーのアイデアで、可能な限り年齢の近い選手同士になった。昨季はベテランと若手を組ませ、年齢的ギャップを解消。方針を変えたことで、今季は若手同士の交流増にもつながった。

 石崎監督は「同じぐらいのレベルなら、将来を考えて若い方を使う」と話してきた。09年の就任以降、岩沼、古田、三上、櫛引、奈良ら計9人をトップチームデビューさせた。そのすべてがJ1定着への布石だ。若手抜てきで02年京都は5位、10年C大阪は3位と旋風を起こした。12年札幌は、まず清水討ちで巻き返しへの1歩を踏み出す。【永野高輔】