<J1:鳥栖1-0新潟>◇第7節◇21日◇佐賀

 鳥栖に特別指定強化選手として加わったMF清武功暉(21)が鮮烈デビューを飾った。新潟戦の後半26分に途中出場すると、同35分には前線のFW岡田に絶妙のスルーパス。そのこぼれ球をFWトジンが左足で決める決勝点を演出した。

 清武はA代表や五輪代表で活躍するC大阪MF清武弘嗣(22)の1学年違いの弟で、現在は福岡大4年生。「特別指定選手」として鳥栖への受け入れが19日に発表されたばかりだった。

 決勝点の起点となった、外を向いたままの中へのスルーパスは兄を見ていて自然に身についた術だという。本人は「強い気持ちを持って入った。点取れば100点だが、自分なりに(決勝点の)形に加われて良かった」と喜んだ。観戦した福岡大・乾監督は「清武3兄弟で気持ちの強さは一番。スルーパスは清武家のDNA」と絶賛した。

 この日、放ったシュートはチーム最多の5本。直訴した2本の直接FKも得意の無回転で蹴り、40メートルのロングパスをつなぐなど果敢に攻めて司令塔としての存在感をアピールした。兄と同じ舞台でプレーすることを夢見てきた21歳は「対決ができれば」と意気込む。基本は学業優先だが、Jリーグへ呼ばれれば結果を出す自信はある。試合後、激励のメールをくれた兄の支えも励みにする。【菊川光一】

 ◆特別指定選手

 日本協会がユース世代の選手に対し、所属クラブや連盟の枠を超えて高いレベルのプレーができる機会を与える制度。大学などに在籍しながらJリーグの試合に出場できる。出場給や勝利給は支払われない。

 ◆清武功暉(きよたけ・こうき)1991年(平3)3月20日、大分県生まれ。中・高で大分ユースに所属し元U-19日本代表。福岡大3年で臨んだ昨年の天皇杯2回戦は大宮撃破に貢献した。武器はミドルシュート。好きな食べ物は肉。177センチ、65キロ。家族は両親と兄2人。