<J1:川崎F4-3磐田>◇第9節◇3日◇等々力

 新生「風間フロンターレ」が初勝利を挙げた。川崎Fが磐田に辛くも勝利し、風間八宏監督(50)が就任2戦目で初白星を手にした。この2試合で7失点と、依然として守備に課題が残るが、筑波大から培ってきた攻撃スタイルを貫き、競争意識がグングン上昇する選手たちがゴールを重ねた。取られても、取り返す風間サッカーが、改革の進歩を証明する記念すべき1勝を記録した。

 念願の1勝だ。試合終了の瞬間、風間監督は右手を上げて拳を握り、その手でスタッフや選手とハイタッチ。後半ロスタイムに失点し、終わってみれば1点差での辛勝に「ちょっと疲れました。心臓と肝臓は強いですが、もう少し落ち着いてやってほしい」と苦笑いで振り返った。

 初陣となった先月28日の広島戦は4失点で大敗。それでも、攻撃の練習に時間を割き、筑波大監督時代からのスタイルを崩さなかった。この日、後半10分に3-0となった時点で、選手から「もっと(前に)行っていいですか」という声が出たという。結果的に反撃され、ヒヤヒヤでの勝利となったが、指揮官は「彼らのスタイルを大事にしたい」と攻めの精神が垣間見えたチームに笑顔だ。

 DFジェシ、DF小宮山、MF柴崎と、守備陣が故障で離脱中。それでも、あえて守備の向上には取り組まず、紅白戦で得点した選手を積極的に起用するなど、競争意識を高めている。この日、高卒2年目でプロ初ゴールが先制点となったMF大島が、それを物語った。後半17分、センターライン手前の自陣からゴール前のFW矢島へ絶妙なクロスを送り、4点目をアシストしたMF中村も「明らかにパスの質が変わってきている。自分でもビックリ」と舌を巻いた。

 この日は風間監督の家族も応援に駆けつけ、ドイツ3部のオスナブリュックに所属する次男宏矢(こうや=19)の姿もあった。風間監督は04年、地元清水に「清水スペシャル・トレーニング」を設立。小学生から高校生までの優秀選手を選抜し、年齢で区別せず一緒に練習するユニークな育成法を打ち出したが、そのクラブで育った宏矢も「楽しみが増えました」と父の改革の今後に期待した。

 「選手には可能性がある。次戦に向けて、個々の能力を高めていきたい」と風間監督。独自のスタイルで、「フロント=最前線」が名前の由来となった「フロンターレ」に、最前線で挑戦し続けるフロンティア精神を浸透させる。【由本裕貴】