新コーチが“代表イズム”を注入する。札幌の来季新コーチに、U-15監督の名塚善寛氏(43)が就任することが18日、確定した。この日、強化部と詰めの交渉を行い、合意に達した。同氏は94年にA代表に選出され11試合に出場。コーチ就任後の目標として、99年FW吉原以来のA代表輩出を掲げた。

 熱い男が口を開いた。名塚氏はこの日、クラブのオファーを受諾。今後、条件の詳細を詰め、近日中に正式発表される。就任を前に早くも「役割は若手の底上げ。メンタル面では将来の代表、そして海外を目指せる選手をつくっていかないと。プロになるだけで満足してはいけない」と心身両面での育成方針を掲げた。

 現役時代、攻撃的MFだった財前新監督と対照的に、同氏はDFの要として00年のJ2優勝、J1昇格に貢献した。三上強化部長は「財前監督の特長は攻撃。コーチ陣のバランスを考えて名塚氏は適任」と説明。攻撃の財前、守備の名塚という攻守両面のスペシャリストがタッグを組んでチームをつくり上げる。

 トップチームではFW三上、MF荒野、前、小山内、来年トップ昇格するMF深井、堀米、神田、中原、DF永坂、GK阿波加の10選手が教え子。特長、性格を熟知していることも若手育成のアドバンテージになる。「これからはプロとして求めることは厳しく求めていく。代表としての経験も全部、伝えたい」。A代表歴のあるトップチームスタッフは02年の柱谷監督以来11年ぶり2人目となる。平塚、札幌の黄金期を築いた名塚氏が、新生札幌を徹底的に鍛え上げる。【永野高輔】

 ◆名塚善寛(なつか・よしひろ)1969年(昭44)10月7日、千葉県生まれ。習志野高から88年にJSL・フジタ工業(現湘南)入り。92年バルセロナ五輪代表、国際Aマッチ11試合1得点。99年に札幌へ加入し、主将としてJ1昇格に導いた。01年現役引退。02~06年札幌U-12コーチ、07年から今季まで同U-15監督。