背番号10が、崖っぷちから開幕メンバー滑り込みを狙う。左ふくらはぎ痛で離脱していたJ2札幌MF宮沢裕樹(23)が25日、熊本・大津町運動公園で行われた福岡大との練習試合で実戦復帰した。7日のレノファ山口戦で負傷。8日に精密検査を受けた時点では全治4週間の重傷だったが、2週間余りで戦列に戻ってきた。3月3日の開幕千葉戦(フクダ電子アリーナ)までの残り1週間でアピールし、ベンチ入り18枠入りを目指す。

 宮沢が土俵際からの逆転開幕切符を取りにいく。この日の練習試合では、後半26分からボランチとして途中出場すると、落ち着いたプレーで攻撃陣をコントロール。「ケガの方は問題なかった。90分やっていないので、ここからの練習で少しでも開幕戦メンバーに入れるようアピールしていきたい」と意気込んだ。

 奇跡的な復活劇だ。熊本合宿4日目に行ったレノファ山口戦で負傷。熊本市内の病院で精密検査した時点では、左ふくらはぎの肉離れで全治4週間程度と診断された。

 スタッフ陣は開幕戦出場は厳しいと踏んでいたが「絶対に間に合う。間に合わせる」とあきらめなかった。肉離れの度合いは軽度。出血さえ治れば戻れるという判断だったが、無事に状態を戻し、実戦出場にこぎつけた。

 財前監督にとっても吉報だ。ボールを持つ時間を増やし、揺さぶりながら崩すサッカーを目指すには、キープ力が高い選手が欠かせない。その点、前日24日の福岡戦は、前線のキーマン前田がキレを取り戻し、1ゴールを挙げた。宮沢も中盤で時間をつくれる選手。指揮官は「宮沢が入り、バタバタ感がおさまった。どんどんそういうところを出してくれれば、開幕メンバーに絡む可能性はある」と残り1週間の練習を見て最終判断する構えだ。

 財前監督とは母校・室蘭大谷高の先輩後輩の間柄。「最後は監督が判断すること。でも高校の先輩の初勝利に貢献したい思いはある」と前を向いた。道産子選手最年長、監督直系の後輩、そして年男として、13年初戦は絶対に譲れない。【永野高輔】