震災の悲劇、忘れない-。J2札幌の新人MF深井一希が11日、18歳の誕生日を迎えた。あの東日本大震災発生から2年が経過。あらためて「僕が生まれた日に多くの人が亡くなった。生きているうちに一生懸命やって、何か1つでも残せるように」とJでのブレークを誓った。

 札幌市内で行われた練習では、黙々とボールを追い続けた。誕生日の喜びはない。2年前のこの日、札幌拓北高で授業を受けていたことを思い出した。「とても揺れた。あとでニュースを見てショックを受けた」。年を重ねるたびに宿命を感じ、夢半ばにして命を落とした人たちのことを思うようになった。何かを成し遂げたい-。まず1人のプロ選手として「僕らサブ組がしっかりやって、スタメン組に危機感を与えたい」と17日神戸戦(ノエビアスタジアム)でのメンバー奪取を誓った。

 財前監督は選手に「結果が出ていない分、続けてアピールしている選手には絶対にチャンスがくる」と伝えた。10日栃木戦はスタンド観戦し「セカンドボールを拾えなくなっていた。もし自分が入ったら、そこでゲームを落ち着かせて、セカンドも全部取って攻撃につなげたい」と意気込んだ。既にデビューした同期神田に負けじと、チーム最年少がJピッチを目指す。【永野高輔】