<J1:広島4-2川崎F>◇第15節◇10日◇Eスタ

 ザック監督、これでも代表復帰はダメですか?

 広島の元日本代表FW佐藤寿人(31)が、Jリーグ史上初の10年連続2桁得点を飾った。前半43分に今季10点目を挙げると、3分後に追加点。さらに一時は同点とされた後半35分には、華麗なダイレクトループで3点目だ。史上初の快挙に、J通算200回目のハットトリックで花を添えた。東アジア杯(20日開幕、韓国)に臨む男子の日本代表は15日に発表予定。

 泥臭さと華麗さ。そしてベテランの妙技。点取り屋として熟成されたエース佐藤が、金字塔を打ち立てた。前半43分のゴール前の混戦。相手GKがボールをこぼしたのを、したたかに押し込んだ。今季10点目、J2仙台時代の04年から続く史上初の10年連続2ケタ得点を達成した。同ロスタイムには冷静に狙いすましたミドル弾。真骨頂は、決勝弾となる後半35分に挙げたダイレクトループだ。

 「できれば明日の新聞に、大きく扱ってもらえるとうれしいです」

 記録ずくめの“寿人デー”だった。5月18日甲府戦に続く今季2度目の3発は、J史上200回目となる節目のハットトリック。この日でJ1で129点、J2で50点。通算得点数でも計179点で、鹿島ジュニーニョに並びトップに躍り出た。昨季限りで引退した元日本代表FW中山雅史が持つJ1通算157点も、十分に視界に入った。

 「ケガをした年もありましたけど、ずっと続けてきたことが数字になった。体のサポートをしてくれている人に感謝したい。もう今季はハットはないと思っていた。こんなに短期間でできるとは思ってなかった」

 代表定着への機運が、より一層高まってくる。それでも佐藤は、周囲のざわつきすら気にせず冷静だ。

 「(代表は)ないと思います。呼んでもらえるか、分からないので。呼んでもらってから、代表のことは考えたい」

 昨秋の欧州遠征で、ザックジャパンに緊急招集された。喜びは一瞬で、落胆に変わった。出番をもらえず「自分は何をするために、ここまで来たのか…」と自問自答するだけだった。日本は6月のコンフェデ杯で3戦全敗。佐藤の得点力に期待したくもなる。ザック監督-。Jリーグには、こんなにすごいFWがいますよ!【益子浩一】

 ◆佐藤寿人(さとう・ひさと)1982年(昭57)3月12日、埼玉県生まれ。市原(現千葉)ユースから市原、C大阪、仙台を経て05年広島へ。日本代表として国際Aマッチ31試合4得点。千葉MF勇人は双子の兄。170センチ、71キロ。<J1でも最多>

 ▼連続シーズン2桁得点

 04年のJ2仙台時代から10年連続2桁得点のJリーグ新記録。自身の記録を塗り替えた。歴代2位はジュニーニョで8年連続(03~10年)。またJ1だけ限っても09年から5年連続8度目の2桁得点となり、前田遼一、マルキーニョス、エジミウソンの7度を上回りJ1最多。J1の連続記録はエジミウソンの7年連続。

 ▼ハットトリック

 自身今季2回目、通算5回目。J1で5回のハットトリックは、ウェズレイの8回、中山雅史の7回に次いで、三浦知良の5回に並び歴代3位タイ。なお、これが記念すべきJ1通算200回目のハットトリック。

 ▼Jリーグ通算得点

 J1で129点、J2で50点でJリーグ通算179得点。この日1得点を挙げた鹿島のジュニーニョと並び歴代最多得点となった。