<J1:鹿島2-1横浜>◇第22節◇24日◇カシマ

 鹿島FW大迫勇也(23)が、2ゴールを挙げた。どちらも元日本代表の横浜DF中沢佑二(35)をかわして決め、相手を首位から引きずり下ろした。これで自身初の2ケタとなる今季11点目。チームを4位に浮上させた。

 跳び上がり、大迫は拳を突き上げた。MF本山からパスを受け、元日本代表のDF中沢が寄せてくる前に右足で放った逆転ゴールは、自身最多の11点目。カシマスタジアムに詰めかけた1万7608人のサポーターの「大迫コール」に、手をたたき応えた姿には、エースの風格が漂っていた。

 前半19分に先制を許したが、今季無敗を誇るホームで、後半に猛攻に出た。0-1の後半24分、「モトさんはいつもいいパスをくれるので、信じて走りました」。MF本山から中央でパスを受けると、ワンタッチでDF中沢の逆をついてかわし、左足を振り抜きゴール右隅に同点ゴールをたたき込んだ。

 過去の反省があった。今季3度対戦した横浜戦で、勝利はなし。6月のナビスコ杯準々決勝は0-2、1-3と完敗し、大迫も中沢とのマッチアップに苦しみ、得点を奪えなかった。「点を取るのが自分の仕事。点を取らないと優勝できない。どうすれば点が取れるか常に考えている」。責任感の強いエースは、この日の4戦目で、中沢に対して真っ向から勝負を挑んだ。

 前半15分にはGKに阻まれたが、中沢に競り勝って好機を演出。「ホームで対戦したときは、チャンスもあった。あのイメージでできれば、自然とゴールはついてくる」。その言葉どおり、後半にスピードと技で35歳のベテランを制した。試合後、無言でバスに乗り込む中沢の姿が、大迫の完勝を物語っていた。

 9月の親善試合に向けたザックジャパン入りも狙えるところに来た大迫。それでも「まずはJリーグで。結果はついてくるものですから」と淡々と話した。これで、首位との勝ち点差は「6」。逆転優勝を狙う鹿島のエースは、目の前の敵を倒すことに集中している。【桑原亮】