リーグ終盤のキーマンになる!

 J2札幌DF前貴之(19)が5日、札幌・宮の沢での戦術練習で主力サイドバックに入った。明日7日の天皇杯2回戦(対北海道教大岩見沢)は、4月7日のリーグ岡山戦以来5カ月ぶりの先発が濃厚となった。昨季J1で15戦出場の主力候補も、今季は4月に右足首の手術を受け、リーグ出場は2試合。天皇杯で試運転し、プレーオフ圏入りをかけたリーグ残り10戦での活躍につなげる。

 前が、はい上がる。この日の戦術練習では、右サイドバックに入ってプレー。全体練習後には、古辺コーチとマンツーマンで約10分間、攻撃参加時のゴール前への動きだしについて詰めた。5カ月ぶりの先発復帰も気負いはない。「まず落ち着いて試合に入ること。結果を出し、リーグにつなげたい」と話した。

 失った分を取り戻す。プロ1年目の昨季は、J1で15試合に出場。今季は左右サイドバックの主力候補と期待されたが、2月の熊本合宿で右膝を負傷した。開幕戦出場を逃し、復帰初戦の4月7日岡山戦では、痛みが再発して前半で交代。その後、手術を受け、長期離脱となった。チームは現在プレーオフ圏6位と勝ち点3差の8位につけているが、ずっと蚊帳の外に置かれていた。それだけに「最後の最後でもリーグに絡みたい。そのためにも、このチャンスは大事にしたい」と気を引き締めた。

 財前監督は、天皇杯でリーグ戦出場が少ない選手の見極めを行う方針。特にJ1経験があり、両サイドバック、ボランチをこなせる前のリーグ戦起用も計算できるようになれば、戦術の幅は広がる。指揮官は「天皇杯だからといってやり方は変えない。ここまで出場が少ない選手はリーグにつながるような意識を持ってアピールしてほしい。前には攻撃の起点として期待している」と言った。

 リーグ残り10戦に向けた底上げを図りつつ、同時にプロとして結果も問われる一戦。格下の大学生が相手だが、前は「内容だけでなく1-0でもいいから勝ちにこだわりたい。プロで成長した部分を出したい」と意気込んだ。北海道教大岩見沢には、札幌U-18の先輩DF葛西大(3年)同期FW近藤勝成(2年)ら、ともにプレーしながらトップ昇格できなかった戦友が複数いる。技術だけじゃなく、けがを乗り越え、精神的にもタフになった姿をピッチで披露する。【永野高輔】