磐田は7日、10日のアウェー鳥栖戦に向け磐田市内で練習を行った。引き分け以下で降格が決まる一戦で、守備陣は相手エース豊田陽平封じを誓う。日本代表DF伊野波雅彦(28)は「小さな穴かもしれないが、まだ閉ざされてはいない」と勝利への決意を口にした。前節清水戦で相手の高さを封じたDF菅沼駿哉(23)も、ホームで豊田にハットトリックを決められた借りを返すつもりだ。

 残留には勝ち続けるしかない状況下で、伊野波はひそかな闘志を燃やしていた。「まだ可能性はあるから。勝てば次に広がるし。また次勝てば、さらにまた…。小さな穴かもしれないけど、それを広げる可能性はある。まだ閉ざされてはいない」。

 相手FW豊田には今季、ホームでの対戦でハットトリックを決められた。伊野波は代表遠征直後でベンチで戦況を見守っていたが「同じ選手にやられるのは、出てないなりに悔しい」と心境を明かしていた。最近は、前節清水戦も含めて高くて強いFWと対戦しており「前回よりはみんな慣れてると思うし、どうすればしのげるかは分かっていると思う」と話した。

 残り4試合。伊野波は惜敗が続いていた開幕直後から1点の重みを口にし「リーグが始まったばかりで今から取り返せばいい、と思っている選手が多すぎると危険」と危機感を募らせていた。そしてリーグ終盤の今、真後ろまで「降格」が迫ってしまった現実…。「自分だけじゃなくて、いろんな選手が気付けなかった。でも、今はこの経験が無駄ではない、ととらえるしかない」と前を向く。

 センターバックの菅沼駿も、豊田へのリベンジを誓う。「前回は悔しい思いをした。試合に出られたら、豊田選手を抑えたい気持ちを誰よりも持っていると思っている」と頼もしい。甲府が勝利すれば、磐田が勝っても降格が決定する。だが「他のチームのことより、勝つことだけを考えている。清水戦もそうだったし、高いチームとも戦える手応えもつかんでいる。今はその中で豊田選手と戦いたい」。最終ラインが負けない気持ちで守れば、勝利が見えてくる。【岩田千代巳】