前監督も順調な仕上がりに太鼓判を押した。仙台は宮崎キャンプ10日目の25日、3月1日の開幕新潟戦(ユアスタ)へラストスパートに入った。リハビリ組をのぞく全選手が元気な姿を見せ、今キャンプ2度目の視察に訪れたU-21日本代表の手倉森誠監督(46)も「ケガ人ゼロというのがいいね」と笑顔。チームは今日26日にキャンプを打ち上げ、仙台に戻って最終調整する。

 スタンドで見守った手倉森監督も、戦闘態勢に入った選手たちの気迫を感じ取った。5日の練習試合(九州保健福祉大)以来の視察に「週末に(大学選抜の)デンソーカップが(西都市で)あるから立ち寄っただけだよ」と笑ったが、古巣の状態は常に気になっていた。ボール回しやミニゲームでも気持ちを前面に押し出す姿に「俺なら『いよいよ開幕だ』とスイッチを入れるタイミング。話は少し聞いていたけど、練習を見る限りいい雰囲気だね」とうなずいた。

 スタートダッシュを決める下地は整っている。アジア・チャンピオンズリーグに初挑戦した昨季はキャンプからケガ人が続出。Jの開幕では角田、菅井、鎌田と守備陣の主力を欠いた。序盤5試合で1勝2分け2敗とつまずき、最終的に13位。「(今季は)コンディションに不安要素はないね。2位になった(12年の)シーズンと似ている」と、ベストメンバーで本番を迎えてクラブの歴史を塗り替えた一昨年と重ね合わせた。

 6年間率いたチームを去ったことで、教え子たちにはさらなる成長を期待している。基本システムや細かい約束事は違えど「アーニー(アーノルド監督)は『大きく変えるつもりはない』と言っているし、陣形をコンパクトに保つという原則は同じ。システムを言い訳にするのは結果が出ない時の逃げ道」とピシャリ。多少の戸惑いが生まれるのは承知の上で「新しいことだと思いすぎずに、自分の可能性を広げるんだと思ってやってほしい。あとは武藤とか八反田とか二見とか、フレッシュなヤツらが出てくれば武器になる」とエールを送った。練習後に選手やスタッフと交わした握手には、手倉森監督の熱いメッセージがこもっていたに違いない。【鹿野雄太】