<J2:磐田0-1札幌>◇第1節◇2日◇ヤマハ

 J2札幌の新守護神が、鋭い読みと的確なコーチングで、2年連続の開幕戦完封勝利に貢献した。長崎から移籍して、いきなり公式戦初戦のゴールマウスを任されたGK金山隼樹(25)。前半から磐田の危険なシュートを再三、防いだが、圧巻は1-0の後半30分だった。

 磐田FW前田のPKを、右に横っ跳びしてセーブ。あわや同点のピンチを防ぎ、勝利を呼び込んだ。前田のPKシーンは、事前に動画でチェックしていた。蹴る方向は頭に入っていた。「(自分としては)7割の確率で右に跳ぶ。後は蹴るタイミングと体の向きで分かった。落ち着いていられた」と、データも生かした上での好守だった。

 札幌のシュート5本に対し磐田は17本。劣勢の中、ゴール前に立ちはだかり、磐田攻撃陣をいら立たせた。シュートストップだけではない。ロングキックをFW内村につなぎチャンスをつくるなど、最後尾から攻撃を組み立てる、積極的なプレーで磐田を揺さぶった。自身初の開幕戦出場で難敵を封じ「90分間、気を抜けなかったけど、みんなが全力で力を出してくれた。DF陣がコースを限定してくれたから助けられた」と振り返った。

 昨季は長崎で第3GKからはい上がり、リーグ最少40失点でのプレーオフ進出に貢献。J1昇格を目指し、札幌に移籍してきた。底抜けに明るい性格で、沖縄、熊本合宿では、食堂でひたすら話し相手を探し、コミュニケーションを取ってきた。熊本合宿で同部屋のFW榊翔太(20)は「先輩なんですけど、まったく気をつかわせない。人をリラックスさせるのがうまい」と言う。21歳櫛引、20歳小山内の若いセンターバックが、前田、松井ら磐田強力攻撃陣に攻め込まれるたびに励まし、勇気づけた。

 「僕は緊張はしない。準備がすべてだと思っているし、今回は準備ができていたから緊張はなかった」。強心臓の25歳が今季、札幌ゴールにカギをかける。【永野高輔】