J2札幌が獲得交渉を進めていたインドネシア人MFステファノ・リリパリー(24)が23日、来日した。すでに仮契約を済ませており、今日24日に受けるメディカルチェックで問題なければ、明日25日に正式契約を結ぶ。運動量とスピードを兼備した攻撃的MFで、オランダ1部ユトレヒトなどでプレー。28日までの第1登録期間内にJリーグの提携国枠を活用して登録する予定で、早ければ30日の京都戦から出場が可能となる。

 浅黒く焼けた肌の男は笑顔のまま、新千歳空港の到着口に現れた。ステファノは黒いキャップをかぶり、右手を軽く上げ、ガールフレンドのカルメンさん(22)とともに来日。既に札幌と仮契約を結んでおり、メディカルチェックで異常がなければ、明日25日にも正式契約となる。28日の第1登録の締め切りに間に合えば、30日の京都戦への出場も可能で「サポーターを楽しませるようなプレーで、札幌のJ1昇格に貢献したい」と力を込めた。

 オランダで生まれ育ち、昨年8月に父の出身であるインドネシアの代表に選出された同国の有望株でもある。代表では同じオランダ出身で、今季J1甲府入りしたMFイルファン(25)ともプレー。札幌加入が決まれば、J2初のインドネシア人選手となる。Jリーグは1月にインドネシアを6カ国目の東南アジア提携国枠に加えており、札幌は同枠を活用して登録する。

 11年にオランダ1部のユトレヒトでデビューし、攻撃的MFとして活躍した。若手育成に定評があるオランダリーグで育ったこともあり、基本的な技術は十分、備えている。三上大勝GM(42)は「レ・コン・ビンのように運動量とスピードがあり、足もとの技術もしっかりしている。日本で成長したいという意欲も高い」と期待した。

 クラブは第2のレ・コン・ビンとしてピッチ内外での効果を狙う。昨季はベトナムの英雄ビン獲得や、ドンタム・ロンアンFCとの提携などで、同国企業の広告獲得や現地ファンの動員にもつながった。今季はインドネシアリーグのアレマ・インドネシアFCとクラブ間提携の交渉中で、4月末の正式締結を目指している。インドネシアは世界第4位の約2億4000万人の人口を誇る。ステファノ獲得をきっかけに、新たな大市場に踏み出し、放映権料や広告収入など、派生効果にもつなげていく。

 ◆ステファノ・ジャンテ・リリパリー

 1990年1月10日、オランダ・アムステルダム生まれ。オランダのAZユースから、11年にユトレヒトでプロデビュー。13年から同国2部のアルメレ・シティーに在籍。昨年8月、フィリピン戦でインドネシア代表初招集。同代表出場1試合。家族はインドネシア人の父、オランダ人の母と姉、妹、弟。172センチ、62キロ。利き足は右。

 ◆インドネシアのサッカー事情

 オランダ領東インド時代にオランダ人植民者の影響でサッカーが盛んになった。1934年の極東選手権では日本に7-1と大勝。アジアでトップクラスの実力を誇り、38年フランスW杯にアジアから最初の参加国となった。国内リーグは94年にプロ化。11年に分裂騒動が起きたが、現在はインドネシア・プレミアリーグが国内最上位リーグとなっている。国内でも人気スポーツの1つで、同リーグは収容人員4万人以上の競技場が満員になることも。現在、FIFAランクは154位。