岡ちゃんが昇格へ太鼓判!

 J2札幌の元監督でW杯2大会で指揮した岡田武史前日本代表監督(57)が9日、札幌宮の沢の練習場を訪れた。札幌監督当時、指揮官と主将の間柄だった野々村芳和社長(41)や、当時U-18監督だった財前恵一現監督(45)らを激励。約30分と短い滞在ながら、練習の雰囲気や現在の戦績、戦力を踏まえ十分、J1昇格する力があると明言した。

 歴戦の将が、14年札幌の潜在能力を見いだした。岡田氏の練習視察は、W杯南アフリカ大会直前に訪れた10年3月25日以来、約4年ぶり。札幌監督当時、選手だった野々村社長、吉原宏太氏ら教え子に囲まれ談笑しながらも、眼鏡の奥の目は、しっかりグラウンドに注がれていた。

 過去、Jクラブや日本代表で多数の選手と関わってきたからこそ「おれには教え子がたくさんいるから、あまり1チームに肩入れするのは良くない」と前置きした。古巣だからというリップサービスは抜き。一指導者のフラットな目線で「今、6位だろ。いい位置だし、能力が高い選手もいる。昇格の可能性はある」と口にした。

 ポイントは3つ。まず財前監督について「選手時代の能力は高かった。監督になってからも、いい雰囲気をつくっている」と言った。札幌時代はユース監督だった財前監督を食事に誘い、自らの指導理論を伝えてきた。「練習時間を守り、うまくいかなくても時間内に終わらせるのが監督の責任」と伝授し、継承されている。財前監督の練習を見るのは初めても、個々の動きや表情をチェックし、競争意欲や集中力が高く保たれていると分析した。

 第2は横浜時代の教え子、河合の存在。「(まとめ役として)とても性格がいい」。J1連覇をかけた浦和との04年チャンピオンシップ第1戦で決勝点。当時から粘り強いプレー、精神面ともに信頼しており、その選手が軸にいることを昇格のカギとした。

 01年札幌主将だった野々村社長についても言及し「いろんなことに取り組もうとしている。周りの評判はとてもいい」と話した。社長2年目に入り松山光プロジェクト、インドネシア戦略、小野補強と、新たな道に踏み出す積極的なクラブ方針も評価した。岡ちゃんチェックでは社長、指揮官、主将と、3つの柱に狂いはない。あとはチーム一丸で4月攻勢をかけ、勝ち点2に迫った自動昇格圏を狙いにいく。【永野高輔】

 ◆岡田氏と札幌

 日本が初めて本大会出場を果たした98年W杯フランス大会で日本代表を指揮し、翌99年にJ2札幌監督に就任。2年目の00年にJ2を制覇しJ1昇格に導いた。01年にクラブ初のJ1残留を果たし、同年限りで退任。名塚コーチが、00年昇格時の主将で、野々村社長が01年J1残留時の主将だった。