<J2:磐田3-1北九州>◇第32節◇20日◇ヤマハ

 磐田が4位の北九州を下し、5戦ぶりの勝利で3位を死守した。負ければ5位転落の危機もあった一戦で、右サイドバックで先発したDF桜内渚(25)がジャンプボレーのスーパーシュートなど2得点と大活躍。守備面が評価されての起用も、持ち味の走力を生かして攻撃面でも貢献。マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれ人生初のお立ち台も経験した。2位の松本が引き分け、J1自動昇格圏までの勝ち点差は7に縮まった。

 3年目の桜内がチームの危機を救った。4戦未勝利で迎えたこの日の試合は、戦術を3バックから4バックに変更。負ければ戦術でも迷走したかもしれないピンチだった。

 前半7分、FW前田のクロスに桜内が飛び込み先制すると、同22分にはMFフェルジナンドが頭で折り返したボールに、またもや桜内が約1メートル跳躍し、右足でジャンプボレーシュートを決めた。アクロバティックなスーパーゴールで勝利を引き寄せ、桜内は「2点目は飛んで落ちて、痛いはずなのに痛くなかった。自分の体は無理が利くので無理なボールでも怖がらずにいける。ある意味、僕らしいゴールかも」と笑顔を見せた。

 右サイドバックは、日本代表経験のあるDF駒野の定位置だった。しかし、シャムスカ監督(48)は桜内の堅守と運動量を評価し、第28節の湘南戦から桜内を起用している。「駒野さんには技術でかなわない。同じことをしていてもだめ」。自身の特長を生かした激しい上下運動を繰り返し、チャンス時には斜めに走ってエリア内に入り込む。ピンチではダッシュで自陣に戻るなど、常に体を張ってきた。試合後、駒野から「ナイスゴール」と声をかけられた。桜内は「駒野さんは、技術面でも見習うことが多い。いい見本がいて、どんどん成長できる環境にいると思ってます」と振り返った。

 チームは4バックに戻し、停滞していた攻撃の推進力が戻りシュート15本を放った。指揮官は「渚は運動量があるので常にチャンスで顔を出せていた」と目を細めた。これで2位松本との勝ち点差は7に縮まり、指揮官は「2位を狩りにいく」と力強かった。【岩田千代巳】