J2札幌の野々村芳和社長(42)が7日、正式オファーを出している川崎FのDF稲本潤一(35)と東京都内で直接交渉に臨んだ。三上大勝GM(43)と稲本サイドの代理人も同席し、1時間強の交渉を終え、同社長は「伝えたいことはすべて伝えた。感触は悪くはない」と振り返った。現在、正式オファーを出しているのは福岡と札幌の2クラブで、今月中旬をメドに返答を受ける。

 最初に獲得の意思を示し、最終戦セレモニーでオファーを公言するなど、誠意を示したのも札幌。同社長は「昇格から定着までをイメージしてほしい、可能なら選手としてつぶれるまでやってほしいとも伝えた。やりがいなど、金銭面以外は、うちの方が勝っている思う」と手応えを示した。福岡が年俸約2000万円に対し札幌は1200万円前後(推定)の提示と、2倍近い差があるが、まずはクラブの熱意を直接、稲本にぶつけた。

 交渉の席で、稲本は「高原(直泰)とはフランクフルトで半年しか一緒にプレーできなかったから、(小野)伸二とやりたい」と話したという。同学年で公私ともに親交がある小野の存在は、札幌が獲得するための武器。この日、札幌の後に福岡が交渉に臨んだが、稲本自身が、小野との共闘をイメージしている部分は、争奪戦に勝つためのアドバンテージになる。

 J1で優勝した古巣のG大阪、J2降格が決まった大宮も興味を示している状況。今後、両クラブの動向も注目されるが、まずは上々の出足を切った。あとは稲本自身の意思に委ねる。【永野高輔】